2019 Fiscal Year Annual Research Report
細胞間相互作用と微小環境がもたらす免疫細胞分化に関する研究
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19K06666
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
赤沼 啓志 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (50450721)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 免疫 / ゼブラフィッシュ |
Outline of Annual Research Achievements |
ゼブラフィッシュは生体内の細胞の挙動を解析するのに適したモデル動物である。体外で胚発生が進むうえに、胚が比較的小さく透明で生きたまま内部の細胞を観察することが可能である。申請者は、ゼブラフィッシュを用いて制御性T細胞のマスター転写因子をコードするfoxp3遺伝子座に細胞膜に局在するGFPを導入した遺伝子改変を行った。この遺伝子改変ゼブラフィッシュを使って制御性T細胞の発生過程を観察したところ、まず受精後二日目に大動脈・生殖腺・中腎領域でGFPの発現が確認された。その後、体幹部の腹側を中心にT細胞に特徴的な毛のような突起構造を多数持つ細胞が見られるようになり、受精後二週間になると成体での造血組織である頭腎でGFPの発現が始まった。これらGFP陽性細胞の分布から、ゼブラフィッシュの制御性T細胞は、二次造血とともに形成されると考えられる。その後、獲得免疫機構が働き始めると考えられている受精後一ヵ月頃になると、GFP陽性細胞は胸腺や鰓に集積していた。次に、制御性T細胞の役割を解析するために、マクロファージのマーカー遺伝子であるmepg1遺伝子座にmCherryを導入した遺伝子改変ゼブラフィッシュと組み合わせて創傷治癒過程でのGFP陽性細胞の挙動を解析したところ、創傷後一日目にマクロファージと制御性T細胞の創傷部位への集積が確認された。その後、治癒が進むにつれてマクロファージの数が減っていくのに対して、制御性T細胞は治癒が完了するまで創傷部位に留まっていることがわかった。現在は、制御性T細胞の分化メカニズムや創傷治癒過程での細胞挙動の制御メカニズムを解析中である。
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