2020 Fiscal Year Research-status Report
低酸素シグナルによる抑制性神経の発生制御機構の解明
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19K06680
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
酒井 大輔 金沢医科大学, 一般教育機構, 講師 (90632646)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 低酸素シグナル / 抑制性神経発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、大脳におけるHif1αの標的遺伝子候補の機能解析を重点的に行った。 まず、Gm10046に関しては、国立精神神経センターの井上高良先生、井上由紀子先生にご協力いただき、Gm10046ノックアウトマウスを作成した。2020年5月にノックアウトマウスが完成し、戻し交配が7世代まで完了している。現在、ホモ欠損胚の解析を開始したところである。 Fgf15に関しては、in utero electroporation法によるLGEへの強制発現実験を継続して行った。胎生12日目の胚では、安定的なLGEへの遺伝子導入が難しく、条件設定に多くの時間を費やした。しかし、安定した結果が得られないため、現在は胎生13日目の胚のLGEへ遺伝子導入を行っている。現在までのところ、Fgf15の強制発現によってCGE由来抑制性神経の誘導には成功していない。その理由として、発現量が不十分であること、胎生13日目の胚ではタイミングが遅いこと、が考えられた。 血管からの酸素が抑制性神経の発生に関与する可能性についても検討している。血管形成に必須なVegfのデコイ分子であるsFlt1の発現ベクターを分与いただき、胎生13日目の胚のLGEへ遺伝子導入した。血管形成をIB4を用いて解析した結果、sFlt1の強制発現によって血管形成が阻害されていることが確認された。しかし、血管形成が抑制されている領域は非常に狭く、酸素供給遮断の影響が限定されてしまうことが危惧された。現在、in utero electroporationの電極径を大きくし、遺伝子導入範囲の拡大を試みている。 蛍光プローブを用いた大脳内の低酸素領域の可視化を試みた。HypoxyprobeとLOX-1による検出を試みたが、明瞭なシグナルは得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響により、研究活動に様々な制限がかかり、研究課題の進捗が遅れている。 また、Gm10046ノックアウトマウスの作成や、LGEへの安定的な遺伝子導入法の検討に大きな時間を費やした。また、脳組織内の低酸素領域の可視化についても、すでに報告されている方法を用いたにも関わらず、良好な結果が得られなかった。これらの理由により、研究課題の進捗が予定よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、Gm10046のノックアウト胚の解析は、ノックアウト胚の脳組織切片を作成し、様々な抑制性神経のマーカーを用いた免疫染色を行い、LGE近傍にCGE由来の抑制性神経が異所的に誘導されているか調べる。さらに、出生後の仔の行動に異常が無いか、肉眼観察を行う。 Fgf15の強制発現実験については、Fgf15の発現をin utero electroporation後の脳組織を用いたウェスタンブロットで検出し、発現量が十分であるか確認を行う。発現量が低い場合には、使用する発現ベクターの再検討を行う。 sFlt1による血管阻害実験については、sFlt1の強制発現後の脳組織を用いた免疫染色を行い、異所的なCGE由来抑制性神経の誘導が起きているか解析する。 脳組織内の低酸素領域の可視化については、固定組織での染色が可能なEF5を用いた検出系の導入を検討している。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、参加を予定していた多くの学会が開催を見送ったり、大学から出張等の自粛要請があったため、予定していた出張のほとんどが中止となった。また、研究活動にも大きな制限がかかったため、購入予定だった物品のいくつかが購入できなかった。これらの理由により、次年度使用額が生じた。 次年度、学会が開催される場合は積極的に参加する。また、今年度に購入を検討していたGsx2-creマウスの導入を再検討する。研究活動が遅延しているため、今年度に予定していた論文投稿が次年度に繰り越されそうなので、投稿費用も支出する。
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Research Products
(2 results)