2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K06684
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Research Institution | Institute for Developmental Research Aichi Developmental Disability Center |
Principal Investigator |
高木 豪 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 障害モデル研究部, 主任研究員 (70300879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 基樹 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 障害モデル研究部, 研究員 (90584673)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 抑制ニューロン / パルブアルブミン / ソマトスタチン / Zn-finger / 転写因子 / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳における抑制ニューロンの約70%はパルブアルブミン(PV)陽性型とソマトスタチン(SST)陽性型に分けられる。これらは共に胚発生期に終脳の腹側にあるMGEと呼ばれる領域から生じるが、これらの分化バランスの調節機構は不明であった。我々はZn-finger型の転写因子ファミリーの二重変異マウスの大脳皮質でPV陽性型抑制ニューロンの激減を観察していた。一方SST型抑制ニューロンの増加も観察していたが1例しか調べていなかったため、本年度は2例目でその再現性を確認した。このことにより本転写因子ファミリーはこれらの分化バランスの調節に関与することが分かった。 昨年度、本転写因子ファミリーの上流で働くBmpファミリーがMGEに近接する領域で発現することを見出したので、本年はBmpが本転写因子を介して分化制御に働くのか調べるために、本転写因子ファミリーとBmpリセプターの二重変異マウスの作製を試みた。先行研究から大脳での抑制ニューロン特異的なBmpリセプターの遺伝子変異マウスは成獣に到達すると予想されていたが、今回使った系は全身での抑制ニューロンでKOする系であったためかBmpリセプターの単独変異だけで生後直後に死亡する結果となり、分化バランスの異常や転写因子との遺伝学的な相互作用を検討することはできなかった。しかしBmpを介したシグナリングが抑制性ニューロンの形成又は機能に重要である示唆を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していたBmpシグナリングと転写因子の相互作用をマウス遺伝学的な手法で調べる実験は、当初利用を検討していた終脳で特異的に抑制ニューロンに遺伝子変異を導入する系の入手が遅れた。代わりに全身での抑制ニューロンに遺伝子変異を導入する系を用いたが、予想外にBmpリセプター単独の遺伝子変異マウスで生後致死となってしまった。抑制ニューロンの分化バランスを評価するには少なくとも生後15日程度までの生存が必要であり、本系を使った実験は今回の実験の目的には不向きで、当初の予定通りに終脳特異的な抑制ニューロンに遺伝子変異を導入する系で評価をやり直す必要が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
全身での抑制ニューロンに遺伝子変異を導入する系に代わり、終脳で特異的に抑制ニューロンに遺伝子変異を導入する系の方も遅れてはいたが導入の準備を続けていたため、本年度の使用に間に合いそうであるので、本系を使ってBmpシグナリングと転写因子の相互作用を検討する。具体的には複数のステージで各種の分化マーカー遺伝子を用いたin situハイブリダイゼーションの実験を行う。 Bmpが大脳皮質の抑制ニューロンの分化制御に関わるエビデンスをさらに得るために、胚発生期の脳室にBmpやBmpインヒビターのNogginを注入してPV型とSST型の抑制ニューロンの分化に影響を及ぼすかどうかの検討も行う。
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Causes of Carryover |
予定していたBmpリセプターの組織特異的な遺伝子変異マウスの実験でトラブルが発生し、分化マーカーなどを用いたin situハイブリダイゼーションなどの実験を行うことができず、次年度使用金が生じた。来年度は別のタイプの組織特異導入の系を用いて、昨年度予定していたこれらの実験も行う予定である。
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