2021 Fiscal Year Annual Research Report
胚葉運命分離に関わる核移動と非対称なPeelingを制御する機構の解析
Project/Area Number |
19K06694
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
高鳥 直士 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (70404960)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 胚葉運命 / 細胞周期 / 核移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホヤでは中内胚葉細胞の核が移動し、転写因子NotをコードするmRNAを将来中胚葉細胞を生じる領域に局在させ、Not mRNAが中胚葉細胞に非対称に分配されることが中胚葉、内胚葉運命の分離に重要である(図1, Takatori et al., 2010)。しかし、核の位置や細胞形態についての定量的な情報が得られていなかったため、Not mRNAの非対称分配に関わる機構についての理解は限定的なものにとどまっていた。 我々は中内胚葉細胞の形態を共焦点顕微鏡を使って定量的に解析した結果、核移動によりNot mRNAが局在したのちに、中内胚葉細胞が大きく形を変えることを確認した。細胞の形態は分裂装置の定位を介して分裂溝の位置に影響を与えるため、中内胚葉細胞の変形がNot mRNAの非対称分配に関わる可能性を検討した。細胞変形の原因を調べた結果、中内胚葉細胞と隣接するa5.3細胞の二つの細胞の表層張力の違いが中内胚葉細胞を変形させることを見出した。ドミナントネガティブ型Rhoのa5.3細胞特異的発現により2細胞間の表層張力の非対称性を解消すると、中内胚葉細胞の変形が抑制され、分裂溝の位置が将来の中胚葉側に移動し、Not mRNAが内胚葉細胞により多く分配され、内胚葉決定因子のLhx3の発現が減少した。中内胚葉細胞とa5.3細胞の表層張力の違いは細胞周期の長さの違いに起因し、a5.3細胞で特異的に細胞周期レギュレータのwee1の発現を抑制することでa5.3細胞の細胞周期の進行を早めると、分裂溝の位置が中胚葉側にズレて、Not mRNAの分配とLhx3の発現が異常になった。分裂溝の位置は細胞形態に依存する分裂装置の向きに加えて、中内胚葉細胞の表層張力の変化により決まることが統計モデルから示唆された。
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Research Products
(3 results)