2021 Fiscal Year Research-status Report
ゼブラフィッシュ変異体を用いた精原細胞の成熟、減数分裂開始を制御する新規因子同定
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19K06698
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
河崎 敏広 国立遺伝学研究所, 遺伝形質研究系, 助教 (30770630)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 精子形成 / 減数分裂 / 精原細胞 / ゼブラフィッシュ |
Outline of Annual Research Achievements |
精子形成では、精原細胞の増殖に伴う成熟と減数分裂のスタートは密接に関係するが、この過程を制御する機構は未解明である。本研究は、初期精原細胞が成熟できないmoto変異体、成熟を経ずに減数分裂を開始する異常を持つPM-035変異体を用いたトランスレイトーム解析(網羅的な翻訳活性解析)を通して、精原細胞の成熟・減数分裂開始を制御する分子基盤の確立、および制御因子の同定を行う。 TRAP法(Translating Ribosome Affinity Purification)によるトランスレイトーム取得に必要となる、初期精原細胞でGFPタグを持つリボソームタンパク質を発現させるトランスジェニック(sox17:EGFP-rpl10a)系統の作成を最初に行い、EGFP-rpl10aが想定通りに初期精原細胞特異的に発現することを確認した。本年度は、moto変異体およびPM-035変異体においてもsox17:EGFP-rpl10a系統を確立することに成功し、現在TRAP法を用いたRNA抽出を行っている状況にある。これと並行して野生型、moto変異体、PM-035変異体精巣を用いたRNA-seq解析によるトランスクリプトーム解析を行ってそれぞれの変異体における遺伝子のRNAレベルでの発現変動を確認した。今後、取得したトランスクリプトームとトランスレイトームを合わせて解析し、精原細胞の成熟・減数分裂開始を制御する分子基盤の確立、および制御因子の同定を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
20年度におけるsox17:EGFP-rpl10a系統の作製の遅れが生じたトラブルにより、当初の計画より遅れが生じているが、本年度において野生型、moto変異体およびPM-035変異体におけるsox17:EGFP-rpl10a系統を作製することができた。TRAP法によるRNA抽出には昨年度にすでに成功しているため、トランスレイトーム取得にむけて問題はなくなったといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
概要に示す様に、本年度において野生型、moto変異体およびPM-035変異体におけるsox17:EGFP-rpl10a系統を作製することに成功しており、現在TRAP法を用いたRNA抽出を行っている。このまま次世代シーケンスのためのライブラリー作製を通して野生型、moto変異体およびPM-035変異体におけるトランスレイトームを取得し、精原細胞の成熟・減数分裂開始を制御する分子基盤の確立、および制御因子の解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
sox17:EGFP-rpl10a系統作出の遅れにより執行できていないトランスレイトーム取得のための次世代シーケンス費用を次年度に持ち越した。【現在までの進捗状況】に示すように次世代シーケンスに向けて問題は無くなったため、次年度に確実に執行する。
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