2020 Fiscal Year Research-status Report
Visualization of retinoic acid gradients underlying the mouse limb formation
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19K06699
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
下薗 哲 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 研究員 (40391982)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | レチノイン酸 / 蛍光共鳴エネルギー移動 / 肢芽 |
Outline of Annual Research Achievements |
レチノイン酸は、食物として摂取したビタミンA (レチノール)やβカロテンが体内において代謝されて生成される生理活性物質である。レチノイン酸は様々な生命現象に深く関与しているが、脊椎動物の形態形成はその中の一つである。我々は、レチノイン酸の脊椎動物の体づくりにおける役割を定量的に理解するために、レチノイン酸の蛍光プローブ(GEPRA)を開発し、ゼブラフィッシュをモデル動物に、後脳の発生とレチノイン酸濃度の相関関係を明らかにした。更にはGEPRAの哺乳類での発現を改善したmGEPRAを開発し、トランスジェニックマウスの樹立にも成功している。 本研究課題は、このmGEPRAを発現するトランスジェニックマウスを用いて、肢芽の形態形成におけるレチノイン酸の役割を解析することを目的としている。レチノイン酸は、四肢の形態形成において重要な働きをする(胎仔期のレチノイン酸の過不足により四肢の形態に異常が生じる)ことが古くから知られているが、その詳細なメカニズムについては論争がある。 本年度は、レチノイン酸分布に対するタンパク質Xの役割を検討するために、mGEPRAトランスジェニックマウスと、目的とするタンパク質のノックアウトマウスとの掛け合わせを行い、マクロズーム顕微鏡を用いて解析を行なった。その結果、目的タンパク質は、レチノイン酸分布に対して従来考えられていた役割とは異なる働きをすることを示唆する結果が得られた。本発見を詳細に検討するために、組織学的解析などを進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、新型コロナウイルスの流行に伴い、実験を休止せざるを得ない期間もあった。しかしながら、ノックアウトマウスとトランスジェニックマウスの掛け合わせを工夫するなどして、ほぼ当初の計画通りに研究は進展したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度までに達成した成果を、多角的に確認するために、胎仔から切片を作成し、組織学的解析を行う。研究はほぼ計画通りに進展し、2021年度で一定のまとまった成果となる予定であるので、論文として公表できるように、足りない研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
2020年度は、新型コロナウイルス蔓延に伴う研究の中断などがあったため、次年度使用額が生じた。研究中断後に研究を速やかに再開することで、年度末までに次年度使用額の総額は、記載されているよりも大幅に減少している。 研究は概ね順調に進んでいるが、次年度使用額を用いて2020年度に行う計画であった研究を早急に行い、計画通りに進捗を戻す。
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