2021 Fiscal Year Annual Research Report
LINC複合体によるシロイヌナズナ有性生殖過程の核融合の制御機構
Project/Area Number |
19K06704
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
西川 周一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10252222)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 核膜融合 / 雌性配偶体 / 重複受精 / シロイヌナズナ / 核膜タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
LINC複合体は核内膜のSUNタンパク質と核外膜のKASHタンパク質によって形成され、核の移動や形態維持などで機能するタンパク質複合体である。本研究では、シロイヌナズナの雌性配偶体特異的な遺伝子発現誘導系を用いて、植物の有性生殖の核融合におけるLINC複合体の役割を明らかにすることを目指している。これまでに、この実験系を用いて形成過程の雌性配偶体でSUNタンパク質に関する優性欠損変異体の発現を誘導すると、極核の融合が阻害されることから、極核融合にSUNタンパク質が関与することを明らかにした。 本研究ではまず、極核の移動前からの遺伝子発現誘導と核動態の解析が可能な、新たな遺伝子発現誘導系を作製した。この実験系を用いてSUNタンパク質に関する優性欠損変異体の発現を誘導することで極核融合が阻害されることが確認された。この実験系を用いて、極核の移動に対するSUNタンパク質に関する優性欠損変異体の発現の影響を検討する予定である。 本研究ではまた、受精時の精核融合におけるSUNタンパク質の役割についても検討した。昨年度までの誘導条件を再検討して解析を行ったところ、SUNタンパク質に関する優性欠損変異体を発現しても、精核融合の明確な阻害は観察されなかった。極核融合と精核融合にはメカニズムの違いが存在している可能性が示唆される。 本研究では、極核融合におけるKASHタンパク質の役割も検討した。昨年度までの解析で、雌性配偶体で発現するKASHタンパク質としてWIP1を特定したが、遺伝子発現誘導系を用いた解析が困難であることが判明した。われわれは、核膜融合で機能する核膜タンパク質としてGEX1を同定した。出芽酵母接合時の核融合ではGEX1ホモログとSUNタンパク質との相互作用が報告されていることから、核融合過程におけるGEX1とSUNタンパク質との相互作用について検討を進めている。
|
Research Products
(4 results)