2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of diverse structural changes in the phycobilisome during chromatic acclimation
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19K06707
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
広瀬 侑 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30616230)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フィコビリソーム / 光合成 / シアノバクテリア / ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
シアノバクテリアは酸素発生型の光合成を行う原核生物であり、光化学系反応中心に光エネルギーを供給するアンテナとしてフィコビリソームを持つ。近年のゲノム解析により、フィコビリソームの構造機能がシアノバクテリアの間で大きく多様化していることが示唆されている。本研究は、緑・赤色光によって引き起こされるフィコビリソームの構造および吸収波長の制御(光色順化、Chromatic Acclimation: CA)の多様性の全容を明らかにすることを目的とする。 緑・赤色光応答型の光色順化の多型として、CA0、 CA2、CA3、CA7、および、それらの組み合わせであるCA2/0、CA3/0、CA3/2/0、CA7/0の8種類を見出し、CA7/0について、Leptolyngbya sp. PCC 6406株を用いた詳細な解析を行い、論文として報告した(Hirose Y. et al. 2019 Mol. Plant.12(8):1167-1169)。また、CA2、CA3については生化学解析が報告されているため、今年度は、CA2/0, CA3/0, CA3/2/0を示すシアノバクテリア株を入手し、フィコビリソームの単離を行った。CA3/2/0株については、光合成細菌の混入が明らかとなったため、無菌化とゲノムシークエンスを実施した。CA3/0とCA3/2/0株については、緑色光もしくは赤色光の下で培養した細胞のRNA-Seq解析を実施し、それぞれの光条件で特異的に誘導される遺伝子を同定した。CA3/0株については、通常の方法ではフィコビリソームを抽出できず、細胞の破砕方法を検討する必要が示された。CA0株については、共同研究者が解析に取り組むこととなった。国内外の研究者より、より多様なフィコビリソームを持つことが示唆された株を取り寄せ、光色順化能を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光色順化の代表株の培養条件の確立・無菌化・ゲノム解析・トランスクリプトーム解析を行い、一部の株について安定なフィコビリソームの単離に成功した。一方、多様な株の生化学解析に時間を要し、フィコビリソームの電子顕微鏡解析に至っていないので、スピード感を持って取り組んでいきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、単離したフィコビリソームを電子顕微鏡およびLC-MS/MS解析に供することを最優先に実験を行う。同時に、光色に加えて栄養条件等の環境応答に対するフィコビリソームの構造機能を調節も解析していく予定である。幅広い研究者にデータを公開するためのサーバー構築も進めていきたい。また、電子顕微鏡を用いた単粒子解析技術を習得するため、構造学研究者との連携も深めていく予定である。
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Research Products
(6 results)