2019 Fiscal Year Research-status Report
ストレスに応答した植物の細胞周期停止を制御する分子基盤の解明
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19K06708
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 直紀 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (40553623)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物はストレスを受けると、ストレス環境下で生存を維持するために積極的に細胞周期を停止させて自身の成長を抑制する。植物のストレスに応答した細胞周期制御の理解は、ストレスに対する植物の生理機構の解明に繋がるのみならず、ストレス環境下での植物の巧みな生存戦略の理解にも繋がる。そのことから、植物のストレスに応答した細胞周期停止機構を分子レベルで明らかにすることは重要な研究課題である。最近の我々の研究により、NAC型転写因子ANAC044とANAC085が、ストレスに応答したG2期での細胞周期停止に重要な役割を果たしていることを見出している。本研究では、細胞周期停止の分子メカニズムを明らかにすることで、ストレスに応答した植物の成長抑制機構の理解を目指す。 現在までに、ANAC044、ANAC085がDNA損傷、高温ストレス、低温ストレス、塩ストレスに応答して発現誘導されることを明らかにした。そして、DNA損傷に応答したANAC044、ANAC085の転写誘導には、NAC型転写因子であるSOG1が直接関与することを見出した。一方で、高温ストレスに応答したANAC044、ANAC085の転写誘導にはSOG1は関与しておらず、異なる転写因子が転写誘導に関与していることを明らかにした。このことから、それぞれのストレスに応じて異なる転写因子がANAC044、ANAC085の転写誘導に関与していることが示唆された。また、ANAC044、ANAC085の過剰発現体の解析により、ANAC044、ANAC085は単独では機能しておらず、ANAC044、ANAC085が協調的に働くことで初めて細胞周期を停止させることが出来ることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ANAC044、ANAC085の転写制御機構について新しく見出したことから、現在までにおおむね順調に進展している。また、細胞周期停止におけるANAC044とANAC085の関係性についても明らかになったことも大きな成果と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ANAC044、ANAC085の転写誘導に関わる転写因子のストレス応答における役割を進める。また、RNAseqによりANAC044、ANAC085の下流で変化する因子を同定し、G2期停止に関わる鍵因子を明らかにする。
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Causes of Carryover |
年度末の出張が延期になったため予定より支出額が少なくなった。代わりに、令和2年度の出張旅費に未使用分を充当する予定である。
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Research Products
(7 results)