2021 Fiscal Year Research-status Report
ストレスに応答した植物の細胞周期停止を制御する分子基盤の解明
Project/Area Number |
19K06708
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 直紀 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (40553623)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 細胞周期 / ストレス応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物はストレスを受けると、ストレス環境下で生存を維持するために積極的に細胞周期を停止させて自身の成長を抑制することが知られている。私達の研究により、植物特異的NAC型転写因子ANAC044とANAC085がストレスに応答したG2期での細胞周期停止に重要な役割を果たしていることを見出している。本研究では、細胞周期停止の分子メカニズムを明らかにすることで、ストレスに応答した植物の成長抑制の制御機構の解明を目指す。 昨年度は、DNA損傷に応答してANAC044、ANAC085依存的に発現変化する下流遺伝子を同定した。今年度は、それらANAC044、ANAC085の下流因子のDNA損傷ストレス応答における役割について調べた。そのために、ANAC044、ANAC085の下流遺伝子の機能欠損変異体を単離して、DNA損傷ストレスに対する応答を根の伸長を指標に調べた。その結果、根の伸長において、DNA損傷に対して耐性を示す変異体もしくは感受性を示す変異体を複数単離した。さらに、これら機能欠損変異体は、DNA損傷ストレスに応答した細胞周期の停止にも異常をきたすことを明らかにした。そして、それら変異体の原因遺伝子を調べたところ、細胞周期制御に関わる因子やエピジェネティクス制御に関わる因子、ストレス応答に関わる因子などが含まれていること発見した。このことから、これら因子がDNA損傷ストレスに応答した細胞周期進行の制御に大きく関わっていることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ANAC044、ANAC085下流遺伝子の機能欠損変異体の表現型解析から、ストレスに応答した細胞周期進行制御に関わる因子を複数同定したことは大きな成果と言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
DNA損傷に対して耐性もしくは感受性を示す変異体を単離したことから、今後はそれら変異体の原因遺伝子の機能を詳細に調べることで、細胞周期停止における役割を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍の影響による出張の延期、物品の欠品が発生したため予定より支出額が少なくなった。代わりに、令和4年度の出張旅費、消耗品費に未使用分を充当する予定である。
|