2021 Fiscal Year Research-status Report
コケ植物の仮根細胞における先端成長の分子機構とその進化的意義の解明
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19K06709
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
本瀬 宏康 岡山大学, 自然科学学域, 准教授 (70342863)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 先端成長 / 細胞極性 / 仮根細胞 / コケ植物 / キナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
植物細胞は特定の方向に成長し、その機能に適した形態を発達させる。また、細胞の成長方向は、器官全体の形態形成を決定づける重要な要素となっている。細胞の成長方向は、細胞骨格の微小管により制御 されるが、微小管がどのように調節され、どのような機能を果たしているのか、未だ不明な点が多い。そこで、ゼニゴケの仮根細胞をモデル系として、成長極性がどのように決定され、安定に維持されるのか解析した。仮根細胞は、葉状体の地面側の表皮細胞が仮根細胞に分化し、その1ヶ所に成長点が形成されて、フィラメント状に伸長する。この過程は先端成長と呼ばれ、種子植物の花粉管、維管束植物の根毛細胞、コケ植物の原糸体などで見られる。しかし、どのように成長方向が決定され、維持されるのかについてはほとんど分かっていない。 本年度は、仮根細胞のライブイメージング系を確立し、論文としてまとめた。また、植物固有のアルマジロリピートキネシン(MpARK1)が、微小管束の形成とオルガネラの輸送を介して、仮根新調を駆動することを明らかにし、論文を投稿中である。また、仮根細胞の成長方向を制御するNIMA関連キナーゼ(MpNEK1)の発現誘導株を作出し、MpNEK1によりリン酸化される新規なタンパク質を特定・解析した。加えて、MpNEK1の先端への局在に必要なドメインを特定した。MpNEK1の変異体と発現誘導株の解析から、MpNEK1が細胞伸長と細胞分裂の両方に関わることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NIMA関連キナーゼ(MpNEK1)とアルマジロリピートキネシン(MpARK1)の機能解析が進み、MpARK1については論文としてまとめた。また、仮根細胞の成長を観察する手法を開発し、論文としてまとめた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、細胞骨格やオルガネラの挙動を解析するためのツールを拡充する。MpARK1の機能解析と、 仮根の観察手法の論文を出版する。更に、MpNEK1の誘導系、生殖器における解析を進め、まとめを行う。MpNEK1と相互作用する因子やリン酸化される新規タンパク質についての機能解析を進める。
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Causes of Carryover |
論文の出版が年度内に間に合わなかったため、出版費を次年度に繰り越した。 作成中の形質転換体が年度内に間に合わなかったため、次年度に繰り越した。
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