2019 Fiscal Year Research-status Report
接触感知・細胞同調・収縮運動：三役を一つでこなすオジギソウの新規遺伝子メカニズム
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19K06715
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| Research Institution | National Institute for Basic Biology |
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Principal Investigator |
真野 弘明 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 特任助教 (80376558)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | オジギソウ / 運動 / チャネル / トランスジェニック / 蛍光タンパク質 / 遺伝子 / 変異体 / シグナル伝達 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、オジギソウの高速運動において運動器官である葉枕内でどのような遺伝子が機能しているのかを明らかにすることを目指す。これまでの研究により、機械刺激受容チャネルMSL10とグルタミン酸受容体様チャネルGLR3の変異体がおじぎ運動に異常を示すことを見出した。さらに、GLR3変異体では運動細胞間の同調に著しい遅れが認められたことから、この同調にはGLR3とその未同定のリガンドとの相互作用が重要な役割を果たすと考えられた。本年度は、これらの遺伝子の機能をより詳細に解析するために、以下の実験を行った。まず、MSL10およびGLR3を全身で発現する過剰発現個体を作出し、運動性能に与える影響を調べた。その結果、GLR3過剰発現体では接触刺激によるシグナル伝達が亢進し、1つの葉を触っただけで植物個体の全部の葉が閉じるという表現型が観察された。この結果は、GLR3が細胞間の高速シグナル伝達に関わる遺伝子であることを強く示唆した。また、MSL10およびGLR3の発現部位を調べるために当該遺伝子プロモーターを用いたレポーター発現系統の作出を行うとともに、MSL10およびGLR3のタンパク質の細胞内局在を調べるために蛍光タンパク質との融合タンパク質を発現する系統の作出を行った。さらに、グルタミン酸がGLR3の内在性リガンドであるかどうかを検証するために、グルタミン酸に対するセンサータンパク質であるiGluSnFRを発現する系統の作出を行った。これらのトランスジェニック系統に関しては現在樹立中であり、次年度以降にその解析を行う予定である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非モデル植物であるオジギソウにおいて、トランスジェニック系統の作出は半年あるいはそれ以上の時間を要する作業である。研究実績の概要で述べたトランスジェニック系統の作出は現時点で順調に進展しており、作出途上の培養体を用いた予備的な観察ではレポーター遺伝子の発現も予想される部位に認められている。また、GLR3過剰発現体で運動に関する表現型が得られたことは重要な進展であり、今後の研究へとつながるものである。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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| Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果により作出されるトランスジェニック系統を用いた解析を行う。また、これまでに行った変異体作出実験により、新規LOBドメイン型転写因子の変異体で運動が大きく損なわれることが確認されている。次年度以降の研究ではこの変異体の解析を進めることにより、オジギソウ運動器官の形態形成やその機能維持のために必要な遺伝子発現調節の面からもアプローチしていく予定である。さらに、オジギソウの運動を担う運動細胞に関しては細胞レベルでの分析が行われておらず、それらが均一な集団なのか、あるいはそれらの中にも領域特異的な何らかのサブタイプが存在するのか等に関してはほとんど分かっていない。これを明らかにするために、最近技術が確立されつつある単一細胞トランスクリプトーム解析を活用し、オジギソウの運動器官内の個々の細胞での遺伝子発現を解析することを現在計画中である。
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| Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、本年度は（すでに確立した手法である）トランスジェニック系統の作出を主に行ったため、現有の設備や機器等で大半の実験遂行をまかなえた点があげられる。
今後の研究の推進方策等に記載したように、オジギソウ運動器官における単一細胞トランスクリプトーム解析を計画しており、本年度予算の繰り越し分はそれに充てる予定である。
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Research Products
(1 results)
