2020 Fiscal Year Research-status Report
光合成色素合成酵素の立体構造からニトロゲナーゼ類似酵素の進化を紐解く
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19K06716
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
澄田 智美 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生命理工学センター), 副主任研究員 (00746331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚谷 祐介 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究プログラム), 研究員 (10421843)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 光合成 / 色素合成色素 / バクテリオクロロフィル |
Outline of Annual Research Achievements |
バクテリオクロロフィル(BChl)は光合成細菌の持つ光合成色素で、タンパク質と複合体を形成し光合成反応において電子伝達やエネルギー吸収の中心的役割を担っている。クロロフィリド還元酵素(COR)はBChl形成の最終段階反応の一つを触媒する酵素だが、CORの反応メカニズムの詳細な解明は進んでいない。CORによる基質認識や反応様式を明らかにするため、本研究ではX線結晶構造解析を手法としてCORの立体構造を解析し、BChlの生合成機構の解明を行う。当該年度では、マルチサブユニット構造をとるa-CORにおいて、BchX/BchY/BchZの複合体のリコンビナントの酵素のapo体・基質との複合体の精製を行い、結晶化スクリーニング及び結晶化のリファイメントを行った。その結果、昨年度同様ポリクリスタルの微結晶は得られたが現在までに構造解析可能な単結晶は得られていない。CORは分子量約350 kDaのヘテロ八量体のため、X線結晶構造解析と並行してクライオ電子顕微鏡での構造解析に着手した。ネガティブ染色法による観察でサンプルが複合体を形成していることを確認し、クライオ電子顕微鏡観察によるデータ取得及び構造解析を行った結果、複合体の一部脱離が見られ、分解能も低かったため構造決定には至らなかった。複合体での構造解析を目指し、サンプル調製条件と解析法の検討を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
apo体及び基質との複合体での結晶化スクリーニングを行い、確認された微結晶の結晶化条件付近でさらにリファイメントを行なったが、単結晶は得られず、得られたポリクリスタルの結晶でのX線回折データでは構造は解析できなかった。並行してクライオ電子顕微鏡での構造解析を実施したが、現在の条件では複合体の一部脱離が見られ、分解能も低かったため構造解析に至っていない。今回の解析条件をもとに、安定した複合体の調整方法とクライオ電子顕微鏡での構造解析の条件検討を行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
高分解能での構造解析に向け、複合体の安定化のための架橋サンプルの作製等、サンブル調整方法と解析条件の最適化を行い、複合体の構造決定を目指す。引き続き結晶構造解析及びクライオ電子顕微鏡での構造解析に取り組む。
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Causes of Carryover |
大型放射光でのデータ取得や学会参加が全てリモートで行なわれたため、旅費が発生しなかった。また、立体構造解析に遅れが生じており、機能解析実験が当初の計画よりも遅い時期にずれ込んでいる。次年度も旅費の減少が想定されるが、計画当初に入っていなかったクライオ電子顕微鏡を用いた構造解析にも着手した為、構造解析用の消耗品、機能解析用消耗品等に使用する予定である。
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