2022 Fiscal Year Annual Research Report
概日時計リセット機構から探る緑藻の新奇光受容伝達経路
Project/Area Number |
19K06720
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松尾 拓哉 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 講師 (00452201)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 概日時計 / 緑藻 / クラミドモナス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者はこれまでの研究から、緑藻クラミドモナスの時計タンパク質ROC15の光誘導性分解が概日時計のリセットの引き金となることを発見し、その現象を指標に多数の変異体を分離した。本研究ではそれらの変異体の解析から、緑藻の概日時計をリセットする光受容伝達経路の全体像の解明を目指した。 分離した変異体のひとつであるB19変異体を解析した結果、この変異体では可視光全域の波長域の光に対する応答がほぼ消失していることを明らかにした。また、光依存的なROC15のリン酸化が起こらないことを突き止めた。原因遺伝子を同定した結果、緑藻では未解析の遺伝子であった。詳細なホモロジー検索の結果、陸上植物のELF3と非常に弱い配列の類似性を検出した。ELF3は陸上植物において概日時計や光・温度応答に関わることが知られている。この結果は、緑藻がELF3を持つこと、また、ELF3ーELF4ーLUXから成るEvening complex (EC)の存在を示唆している。分離した変異体のひとつであるB20の解析からもこの可能性を支持する結果を得た。ROC15がLUXと相同性を持つGARP転写因子であることを踏まえると、緑藻にECが存在することが強く示唆される。また、既知の青色光受容体であるクリプトクロムの解析から、ROC15の光誘導性の分解との関連を明らかにした。これらの結果に、以前我々のグループが明らかにした赤色光伝達経路にかかわるCSLの知見を合わせると、緑藻において光情報が概日時計に入力される経路の全体像が、低解像度ながら明らかとなった。本成果は、緑藻の概日時計の光環境応答に関する研究の基盤となる。
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Research Products
(4 results)