2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of spatio-temporal regulation of regeneration and stem cell reprograming factor
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19K06728
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
朝比奈 雅志 帝京大学, 理工学部, 准教授 (00534067)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シロイヌナズナ / 植物ホルモン / 組織癒合 / 転写因子 / 時空間的解析 / 接ぎ木 |
Outline of Annual Research Achievements |
傷害を受けた植物組織は、幹細胞の機能を獲得すると同時に空間位置情報を受容し、適切な位置に適切な組織の再生を行う。しかし、どの細胞が幹細胞化するのか、幹細胞化した細胞が、どのような遺伝子発現を通じて組織を再生しているのか、未解明である。 本研究課題では、シロイヌナズナ切断花茎の組織癒合過程、及び胚軸間接ぎ木接着過程について、レーザーマイクロダイセクション法を用いて部位・組織別に回収した極微量組織からのトランスクリプトーム解析とホルモン解析を行い、網羅的かつ定量的な時空間変化を明らかにすることで、ANAC071転写因子ファミリーが傷害組織における「幹細胞化誘導因子」であることを示し、組織再生の時空間的制御系を細胞・分子レベルで明らかにすることを目的として、研究を行う。 これまでに、レーザーマイクロダイセクションによって単離したシロイヌナズナ切断花茎の癒合部の細胞を用いたRNA-seq法による網羅的遺伝子発現解析を行い、切断後から癒合が完了する1週間後までの時空間的遺伝子発現解析が概ね完了した。また、同様に採取した組織からの植物ホルモンの網羅的解析を行い、植物ホルモンの時空間的変化を示した。 さらに、ANAC転写因子による維管束組織の再生・再分化過程を分子レベルで検討するため、胚軸間接ぎ木を用いた組織癒合過程の解析を行った。また、トランスクリプトーム解析からANACの下流遺伝子を絞り込み、維管束細胞分化誘導系(VISUAL)を用いて、候補遺伝子の維管束分化への関与について評価する実験系を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度までに、部分的に切断されたシロイヌナズナ花茎が癒合するまでの1週間の過程において、LMD法を用いた組織回収とRNA-seq法を合わせた手法を行うことで、詳細な組織別の時空間的発現変化を解析する基盤ができた。 更に、LMD法を用いて回収した極微量組織からの植物ホルモンの一斉定量法を確立し、植物ホルモンの時空間的変化の一端を解明することができた。 また、胚軸間接ぎ木を用いた組織癒合過程の解析、及び子葉を用いた維管束細胞分化誘導系(VISUAL)を用いてANAC遺伝子の下流遺伝子の探索と評価を行うことで、ANAC転写因子の下流候補遺伝子の絞り込みが進んだ。 以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
シロイヌナズナ切断花茎の組織癒合過程における網羅的遺伝子発現解析と植物ホルモンの分析については、概ね順調に進行しているため、遺伝子発現と植物ホルモン量の変化を時空間的に示す「遺伝子発現マップ」と「ホルモンマップ」の作成を進める。 今後は、イメージング質量分析計を用いた植物ホルモンの可視化や、更に少量の組織での分析法の確立についても取り組む。 イメージング質量分析計による可視化や数細胞レベルでの解析が困難であった場合には、誘導体化による方法や、より高感度のDESI-TOF/MSによる分析を検討する。 ANAC転写因子の下流遺伝子と維管束幹細胞制御機構に関する研究については、維管束細胞分化誘導系(VISUAL)を用いて、候補遺伝子の維管束分化への関与についての評価をすすめる。維管束分化の抑制や促進が見られた変異体・形質転換体については、花茎の組織癒合や胚軸間接ぎ木を用いた解析を行う。明らかな形質の変化が確認されなかった場合は、ゲノム編集を用いた機能破壊株や多重欠損体などを作成する。このほか、ANAC過剰発現株の作出と選抜を進める。
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Causes of Carryover |
おおむね計画通りの使用であったが、キャンペーン価格などによる消耗品経費の圧縮と、当初予定していた植物生理学会出張旅費が学会開催中止により不要となったため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額98,900円は、次年度請求分の助成金と合わせ、試薬消耗品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(15 results)
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[Presentation] Spatio-temporal Analysis of Gene Expression and Phytohormones During Tissue-reunion in Incised Arabidopsis Flowering Stems2019
Author(s)
Yamada K, Nakanowatari M, Yumot E, Noda Y, Koike R, Yokota T, Yamane H, Tsutsui T, Notaguchi M, Suzuki T, Satoh S, Asahina M
Organizer
日本植物生理学会第60回大会
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