2022 Fiscal Year Annual Research Report
種子発芽のフェノロジーを決める温度反応制御遺伝子の同定
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19K06729
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
川上 直人 明治大学, 農学部, 専任教授 (10211179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井内 聖 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソース研究センター, 専任研究員 (90312256)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 種子 / 発芽 / フェノロジー / 自然変異 / 温度 / 量的遺伝子座 / 組換え自殖系統 / ゲノムシークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
一年生草本のフェノロジーは種子発芽と花芽形成の季節に依存するが、発芽の季節を決める分子機構は不明である。本研究ではシロイヌナズナ種内の自然変異に着目し、夏型と冬型で対照的な種子発芽の温度反応性をもたらす分子機構を解明することを目的としている。2021年度までに、夏型と冬型の温度反応性を示す系統の交配(組合せA)で得られたF2の解析から、高温発芽性は主要な2遺伝子座(HTG1とHTG2)に支配されることを見出し、マッピング集団を作成した。また、交配組合せBから高温と低温の発芽形質はそれぞれ異なる遺伝子座に支配されること、いずれも複数の量的遺伝子座(QTL)が関わることを明らかにした。 2022年度では、HTG1遺伝子を同定するため、マッピング集団から高温で高いあるいは低い発芽率を示す20個体ずつからゲノムDNAを調製し、次世代シークエンサーを用いてゲノム配列を決定した。高温で高い発芽率を示すF2個体に共通して存在する夏型系統由来の配列と、ほとんど発芽しない個体に共通して存在する冬型系統由来の配列の解析から、HTG1は5番染色体下腕の約600kbpの領域に座乗し、その候補として81遺伝子が抽出された。このうち、最も有力な1遺伝子については、発芽の高温反応性に関わることを示すデータを得ており、HTG1である可能性が高いと判断している。HTG2についても、マッピング集団後代の高温発芽性は1因子のメンデル遺伝を示しており、遺伝子同定を目的としたゲノム配列解析を行っている。組合せBでは、低温発芽性を支配するQTL解析を行い、少なくとも2つの主要なQTLを見出した。 夏型および冬型の発芽をもたらす主要QTL以外の量的遺伝子座を高感度に検出するため、単粒系統法による組換え自殖系統の作成を進め、組合せAではF8世代・98系統の確立を完了し、組合せBではF6世代の178系統を得た。
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Research Products
(1 results)