2022 Fiscal Year Research-status Report
マダラシミ(昆虫綱・シミ目)の胚発生過程の記載―腹板における亜基節由来説の検証―
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19K06745
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
増本 三香 北里大学, 一般教育部, 講師 (60458742)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マダラシミ / 胚発生 / 形態形成 / 中腸上皮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、マダラシミの胚発生過程を詳細に調査し、特に腹板の形成過程に注目して、これまで報告された知見を検証することである。胚発生の全体像を把握するために、各ステージの胚をパラフォルムアルデヒド溶液で固定し、蛍光核染色(DAPI染色)を実施した。これにより、より詳細な胚の観察が可能になり、概要を理解することができた。 今後の研究では、腹板の形成過程に焦点を当て、電子顕微鏡(SEMやTEM)を用いた観察を行う予定である。現在、電子顕微鏡観察のための試料を準備中である。また、初期卵(胚盤が形成される前)については、DAPIとは異なる波長で励起されるエチジウムホモダイマーを使用した核染色法を試みている。現在、最適な条件を検討中である。 さらに、中腸上皮の形成過程を詳細に観察することで、中腸上皮が卵黄細胞に由来することを明らかにした。この成果は論文として公表し、他の昆虫群の中腸上皮形成過程と比較して進化的議論が展開した。これにより、マダラシミの胚発生に関する理解が深まるだけでなく、昆虫の発生生物学全体への理解にも貢献することが期待できる。 孵化後の若齢幼虫(1齢~3齢)に関しては、より詳細な観察が必要とされる箇所について、金属蒸着を施さないナノスーツ法を用いてSEM観察を行う予定である。ナノスーツ法は脱水過程がないため、体表のクチクラの収縮などのアーティファクトが抑えられるとされており、より正確な観察結果が期待できる。 これらの研究成果は、マダラシミの胚発生に関する理解を深めるだけでなく昆虫の発生生物学全体に対する理解や応用の可能性にも寄与することが期待できる。例えば、他の昆虫種の発生過程との比較や、遺伝子操作を用いた発生過程の制御、さらには害虫対策や生態学的研究などへの応用が考えらる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
胚発生過程おける中腸上皮形成については詳細な観察ができ、成果発表ができたものの、腹板の形成過程の観察については、電子顕微鏡による観察までできておらず、全体としてやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、腹板の形成過程について、電子顕微鏡を用いた観察を中心に行う予定である。それと並行して、胚発生過程の概略について、論文として公表する準備を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は電子顕微鏡による観察が進まなかったため、それに関わる費用の計上が少なかったが、次年度は電子顕微鏡を用いた観察を中心に研究を進めるため、試料作成の薬品や機器を多く購入する予定である。また、論文公表にかかる費用が計上される予定である。
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Research Products
(1 results)