2019 Fiscal Year Research-status Report
細胞種特異的ヒストン修飾解析系を用いた脱分化をもたらすエピジェネテクスの解明
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19K06748
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
坂本 卓也 東京理科大学, 理工学部応用生物科学科, 特別講師 (40637691)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / 遺伝子発現制御 / ヒストン修飾 / RNAポリメラーゼII |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、植物個体で、マウス由来の修飾特異的細胞内抗体と蛍光プローブを用いたヒストン修飾バイオセンサーModification-specific intracellular antibody(mintbody)を利用したヒストン修飾を検出する新規イメージング及び生化学的手法を確立し、植物組織中の特定細胞が脱分化する際のヒストン修飾を介したエピジェネティック制御を捉えることを目的としている。 本研究では、ヒストン修飾の中でも、H3K9ac、H3K4me3及びH3K27me3に着目した。H3K9ac及びH3K4me3は転写の活性化、H3K27me3は転写の抑制化のマークとして知られている。また、当初の計画に加えて、エピジェネティック制御のアウトプットである転写そのものの状態を検出することを目的に、転写活性化状態を表すRNAポリメラーゼIISer2(PolIISer2)のリン酸化修飾にも着目した。これらのmintbodyクローンを融合したGFPと、mRubyを融合した核マーカーであるヒストンH2Bを、単一プロモーターによって同様の転写制御を受けるようにした。Mintbodyは核と細胞質を行き来し、修飾のレベルが高くなるとmintbodyは核により集積し、その蛍光輝度は高くなる。核に集積したmintbodyの蛍光輝度を、核のみで発現するヒストンH2Bの蛍光輝度で補正することで、修飾レベルが評価できる。これらを発現するシロイヌナズナの形質転換体を作成し、各種修飾阻害剤を用いてmintbodyの応答性を検証した。現時点ではH3K4me3及びPolIISer2のmintbodyで期待した応答性が得られた。また、シロイヌナズナで発現するこれらのmintbodyが、それぞれのターゲット修飾を認識することを生化学的に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H3K9ac及びH3K27me3のmintbodyについて、阻害剤処理への期待される応答が確認できていない。用いた阻害剤が適切であるかの検討も含めて、これらのmintbodyについては、植物体で機能しているかどうか再度検証が必要である。機能していない場合は、mintbodyのクローンを変更して検証する。また、PolIISer2のmintbodyでは成功したが、H3K4me3のmintbodyでは、mintbodyを標的としたクロマチン免疫沈降に成功していない。次年度はそれぞれのmintbodyに適したクロマチン免疫沈降の条件検討の必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
H3K9ac及びH3K27me3のmintbodyについては、これまでとは異なる阻害剤を用いて植物体での応答性を引き続き検証する。また、H3K4me3を含めたヒストン修飾のmintbodyそれぞれに適したクロマチン免疫沈降の条件検討を行う。確立できたmintbodyは、特定のプロモーターを利用して、細胞種特異的に発現をさせ、イメージング解析及びクロマチン免疫沈降-シーケンス解析を軸に、特定細胞種に着目した脱分化過程における各種修飾変化を解析する。
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