2021 Fiscal Year Annual Research Report
左右決定におけるノード繊毛由来カルシウムの機能解明
Project/Area Number |
19K06753
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
水野 克俊 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (00777774)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 繊毛 / 左右 / カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス8日胚のノードには、流れを作り出す動繊毛とノード周縁部に局在する不動繊毛とが存在する。不動繊毛は動繊毛により作り出された流れを感知することで左右の決定において必須の役割を果たす。不動繊毛を通じて、細胞外から繊毛内へとカルシウムが流入し、シグナル伝達が開始されることが左右の決定において重要であると推測されていたが、マウスノードの胚性繊毛において繊毛由来のカルシウムの流入を明確に可視化した研究はなかった。本研究では、ノード不動繊毛の左右非対称なカルシウム動態の可視化とその機能解析を目指した。観察の結果、マウスノード繊毛および細胞質で激しいカルシウム濃度の振動が存在し、振動数が左側で顕著に高くなっていた。しかし、細胞体から繊毛内へのカルシウムの流入が無視できない程度存在していた。そこで、細胞体でのカルシウムシグナルを薬剤処理により停止させたところ、繊毛特異的なカルシウム濃度変化が検出された。繊毛特異的なシグナルをカルシウム吸収タンパク質により阻害したところ、左右非対称なノーダルシグナルの決定に影響が生じることが明らかとなった。さらに細胞質におけるカルシウムシグナルにはIP3経路を介したカルシウム放出が重要であることを示した。さらに、共同研究者との研究から、(1) PCP経路に依存したシグナル伝達により細胞内骨格が配置され、繊毛位置がPosterior側に傾くことが、左右非対称なノード流の形成に必須であることを示した (Sai et al., Development, 2022)。 (2) 繊毛における機械刺激の需要によりDand5 (Cerl2)のmRNA分解が誘起されることを示した (Katoh et al., Biorxiv, 2022)。これらの研究により、繊毛がカルシウムシグナルを伴う機械刺激受容体であることが強く示唆された。
|
Research Products
(4 results)