2021 Fiscal Year Research-status Report
嗅覚情報変換チャネルにおける興奮と抑制を修飾する分子メカニズム解明
Project/Area Number |
19K06764
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹内 裕子 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (10324823)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 情報変換チャネル / 電気生理学 / パッチクランプ法 / ケージド化合物 / 嗅細胞 / 線毛 / 嗅覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題3年目にあたる本年度では、初年度・2年度に得られた基礎データをもとにして、単離嗅細胞を用いて電気生理学的手法によるチャネル活性・抑制メカニズムについての実験を行った。特に「匂い情報」が嗅覚受容の第1段階である嗅細胞線毛に発現している情報変換チャネルの興奮と抑制の両パラメータにより信号の出力が決定される点に注視し、ホールセルパッチクランプ法でチャネル電流をリアルタイムでモニターしながら、物質投与時のチャネル活性の興奮と抑制を制御する分子機構の解明を引き続き行った。その際、申請書内に記載したシステム構築の中でも 1) ナノスケール構造体の可視化(LSMもしくはTIRF), 2) 線毛へのケージド化合物導入と光解離による電流発生システム, 3) チャネル電流測定のためのパッチクランプシステム, 4) 単離細胞への匂い物質投与システム のうち、2)の新規ケージド化合物の探索に注力し、これまでのケージド化合物よりもさらに高効率な物質を実験により検討した。本研究で得られた結果は、国内学会発表(近畿生理学会談話会・日本生理学会にてオンライン口頭発表を行った)を行った。また、一般向けにも、共創推進部博物館・適塾記念センター主催の「冬の生涯学習講座」にて対面講演を行い、多くの質疑応答を行った。公的機関からの講演依頼・問いあわせも受けた。本研究課題から得られた結果は基盤的な学術知見のみならず、一般社会への新知見や知識還元および日常生活における嗅覚機能についての情報拡散となった。本研究成果の一部は海外専門誌に投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題全体において、前年度の研究内容を踏まえ、嗅細胞線毛に発現している情報変換チャネル特性について更に実験的検証を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は本年度に得られた結果を踏まえ、嗅線毛上情報変化チャネルの生理学的特性と線毛内の分子ダイナミクスの定量的な解析を進める。現在テストしている新規ケージド物質の選定が終了し次第、「情報変換チャネルの興奮・抑制の分子メカニズム解明」についても異なるアプローチを検討する。得られるであろう結果は「匂いを感じる時の線毛内での分子動向」を解析・解釈するための分子機構と密接にリンクし、更に「匂い受容」における細胞興奮・シグナル抑制とを両側面から分子動向の視点からも併せて検証することが可能となると考える。
|
Causes of Carryover |
令和3年度は令和2年度同様に、新型コロナウィルスの影響で出張がほぼキャンセルとなり、学会もzoomなどのオンライン開催となったことで、旅費使用額が著しく減額となり残高が生じた。令和4年度も新型コロナウイルスの影響を受け、旅費支出が少なくなる可能性が見込まれる。
|
Research Products
(4 results)