2021 Fiscal Year Research-status Report
ミツバチのナビゲーションにおける方向と距離の情報統合の脳内メカニズム
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19K06765
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡田 龍一 神戸大学, 理学研究科, 学術研究員 (20423006)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ナビゲーション / 脳 / 情報統合 / バーチャルリアリティ / 中心複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
巣や餌場などの目的地へ移動する「ナビゲーション行動」では、移動中に方向情報と距離情報を逐次取得しそれらを統合して移動を完遂するが、脳内での統合の仕組みについてはほとんどわかっていない。そこで、本研究ではトンネルを用いて採餌訓練をさせたミツバチをバーチャルリアリティ空間内で疑似的に採餌のナビゲーション飛行を再現させ、その時の脳内のナビゲーション中枢の神経活動を記録し、どのように方向情報と距離情報が脳内で統合されるかを明らかにすることを目的としている。 今年度は、昨年度の組織化学的研究で得られた知見を利用して、トンネル内で採餌訓練したミツバチの電気生理実験を行う予定であったが、新型コロナウイルスの影響等からトンネルでの採餌訓練の実施に支障がでた。そのため急遽学内で実施可能な場所を検討し、代替場所にトンネルを設置した。しかし、代替場所で採餌訓練を行ったものの期待したような訓練効果を得ることはできず、時間の浪費を避けるために学内スペースでの採餌訓練を断念した。 その一方で、ミツバチが方向情報を得るために利用している偏光を検出する複眼背側部(DRA)の光に対する応答の記録を行ったところ、DRAは紫外領域の光に特に強く応答をすることがわかった。さらに興味深いことに、この神経応答は記録した時刻によって応答強度が変化した。このことは、ミツバチの偏光情報処理機構に何らかの時間補償機構があることを示唆しており、自然状態でのミツバチの採餌行動の性質を考えると、ナビゲーションの成功の保証を与えている可能性が高い。 現在は、今年度実施できなかった、従来の場所でのトンネル実験の再開と訓練したミツバチでの電気生理実験の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、新型コロナウイルスの影響等からトンネルでの採餌訓練の実施に支障が出、採餌訓練実験を最終的には断念したため。一方で、電気生理実験の実験装置については実施可能なレベルまでできあがっているのに加え、脳のどのあたりに電極を刺入すればよいかも検討済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は従来の場所での実験が再開可能なので、トンネルでの採餌訓練と訓練したミツバチでの電気生理実験を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイスル感染拡大防止のため、予定していた出張がキャンセルになったり、それによって計画していた実験が持ち越しになったため。繰り越し分は、次年度にそれらの計画を実施するために使用する。
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