2022 Fiscal Year Research-status Report
X線による昆虫飛翔筋内の蛋白分子運動の実空間イメージング
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19K06777
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
岩本 裕之 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 散乱・イメージング推進室, 客員研究員 (60176568)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | X線回折 / シンクロトロン放射光 / 昆虫飛翔筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、モデル構造としてミオシン頭部で修飾されたアクチン繊維(モデルはPDB=Protein Data Baseにある原子座標を利用して作成)を用い、CDI計算が収束するかどうかを調べた。その結果、種々の工夫により、ミオシン頭部修飾アクチン繊維のようなオーバーサンプリング条件を満たさない試料であっても200回程度の繰り返し計算で完全収束し、3次元構造の完全な復元が可能であることが分かった。これは3次元の回折像(試料を360度回転させて記録した2次元回折像のセット)を用いる方法である 2022年度は、これに基づいて実際の測定で記録されるような2次元のX線回折像から3次元構造を復元するプログラムを作成し、試験を始めた。これは上記の3次元の回折像を回転平均化したものである。これは3次元回折像より情報が少ないため3次元構造の復元は上記の場合より困難で、プログラムに種々の改良を行いながら試験しているところである。 また、2022年度は米国フロリダ大学の共同研究者とともに、本研究課題の試料としているマルハナバチの飛翔筋のミオシン繊維の構造を、クライオ電顕で6Åの解像度で決定した論文を出版することができた。この中で、ミオシン分子のバックボーンのコイルドコイル構造が解像されているほか、フライチンなどのミオシン付属蛋白と考えられる密度も解像されている。ミオシン頭部は乱れているようであり、2021年に実験責任者がIUCRjに出版した結果(ミオシン頭部は乱れておらず、いわゆるInteracting Head Motifの構造をとる)とは異なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度はようやく3次元構造復元に必要なスペックのワークステーションを購入することができたが、最適なプログラムの作成が困難で遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
最適化したプログラムが完成次第、出版に必要なデータを計算するのに時間はかからないと思われるので、本年度中に論文の出版を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナおよびそれに伴う必要機材購入の困難による研究遅延のため、2023年度に論文出版費用(オープンアクセス費用を含む)を確保する必要が生じた。よって上記の金額は論文出版を含む外部発表のための費用として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)