2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K06778
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
蛭田 千鶴江 北海道大学, 理学研究院, 研究院研究員 (20723018)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ミジンコ / 単為生殖 / 減数分裂 / 生殖細胞形成 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、卵が単独で発生する単為発生機構について、生殖細胞を形成するための減数分裂の何が、どのように改変されることで実現されているのかを明らかにすることにより、動物界にみられる様々な様式の単為発生機構が、いかに獲得され進化してきたのかを理解することを目指すものである。 本研究で対象とするミジンコ(Daphnia pulex)の単為発生機構は、第1減数分裂が途中で停止しスキップされる「減数しない減数分裂」という様式であることが組織学的研究から分かっているが、詳細な染色体の動態と分子機構は未だ明らかになっていない。そこで、本研究ではミジンコの単為発生卵の形成過程を分子機構レベルで明らかにすることを目的とし、(1)ゲノム編集基盤の整備を完了すること、(2)第1減数分裂の染色体動態に着目することで減数分裂との違いを見出すこと、そして(3)その分裂を制御する機構を明らかにすることに取り組んでいく。今年度は、ミジンコにおけるゲノム編集基盤の確立のため、knock-in法の確立と、時期/組織特異的な発現遺伝子の操作の実現に取り組んだ。さらにゲノム編集技術を用いて(1)分裂過程の染色体動態の可視化と、(2)分裂を制御する因子の機能解析を行うための遺伝子改変ミジンコの作出を進めた。また、真核生物に共通の減数分裂特異的遺伝子が単為発生卵の形成時にも発現することが報告されているので、その詳細な発現解析を行うために必要な卵の経時的なサンプリングを進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
これまでにTALENおよびCRISPR/Cas9を用いたknock-out法を確立してきた知見を生かし、knock-in法の確立、さらには時期/組織特異的な発現遺伝子の操作を実現することでゲノム編集基盤を完成させる予定であったが、確立するまでには至らなかった。さらに付随して、単為発生卵の分裂過程における染色体動態を可視化する系統および分裂を制御する因子の機能解析を行うための系統を作出予定であったが、遅れが生じているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ミジンコにおけるゲノム編集基盤の確立と単為発生卵の分裂様式の解析を進めるためのknock-outおよびknock-in個体の作出を進める。並行して、単為発生時に発現することが知られる真核生物に共通の減数分裂特異的遺伝子の詳細な発現解析に着手する。
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Causes of Carryover |
単為発生卵の分裂様式の解析を進めるためのknock-outおよびknock-in系統の作出に時間を要していることから実験計画が遅れ、当初の使用計画から変更が生じたため。 引き続き系統作出を進めるために必要なゲノム編集用の試薬・消耗品の購入、さらには作出した系統を用いた単為発生卵の分裂様式の解析を進めるための試薬・消耗品の購入へ充当する。
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