2022 Fiscal Year Annual Research Report
チョウ目昆虫における翅形質の退行的な進化を制約する発生・分子機構の解明
Project/Area Number |
19K06791
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
新津 修平 東京都立大学, 理学研究科, 客員研究員 (70446524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 貴史 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 契約研究員 (20726707)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フチグロトゲエダシャク / 次世代シーケンサー / 遺伝子発現解析 / 翅退縮 / 翅原基形成過程 / スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、フチグロトゲエダシャクの蛹期に翅原基内部で生じる翅退縮現象の背景にある分子メカニズムの解明を目指して解析を進めている。 今年度は、フチグロトゲエダシャク蛹期における翅原基の発達を詳細に解析することを目的として、翅原基形成過程を3、12、48、72時間毎に時系列で追ったサンプリングを行い、そこから抽出したtotal RNAを用いて次世代シークェンサー(NGS)により翅退縮に重要な影響を与えるステージの推測を行なった。また、今年度研究プロジェクトの新たな進展として、同じくメス成虫が痕跡翅を持つカバシタムクゲエダシャクについて蛹の翅組織の発生分化と性的二型の分化を時系列に観察した結果を、海外国際誌に現在投稿中である。 遺伝子発現解析の結果から、メス特異的な翅退縮の誘導に関わる遺伝子は蛹化後12時間以内に発現することが有力視された。また、ヒストロジー解析から、48時間以降に翅退縮が顕著に進むことを明らかにしている。そこで、翅退縮誘導に関わる因子をスクリーニングする目的で蛹化3、12時間後、翅退縮を引き起こす因子をスクリーニングする目的で48、72時間後のそれぞれ雌雄の翅原基からRNAを抽出してNGSによる網羅的発現遺伝子解析を行った。翅退縮を引き起こす因子については、48時間後では雌雄の比較において、メスで有意に発現が高いものが0、有意に発現が低いものが1であったが、72時間後ではメスで有意に発現が高いものが1、有意に発現が低いものが10であった。翅退縮が進行する72時間サンプルにおいてメス特異的に多くの遺伝子が抑制されていることから、メス特異的な翅退縮は、翅形成に働く遺伝子の発現が抑制される形で生じていることが示唆された。 翅退縮誘導に関わる因子については現在解析中であるが、遺伝子の詳細については引き続き解析を進めていく。
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Research Products
(3 results)