2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K06793
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
川口 眞理 上智大学, 理工学部, 准教授 (00612095)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | seahorse / transposon |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度までに見出したタツノオトシゴの上皮に特有なflame cone cellで発現している新規遺伝子の解析を主に進めた。この遺伝子の転写産物はプロリンとグリシンに富んだ配列をしていることから、この遺伝子をproline-glycine rich (pgr)遺伝子と名付けた。タツノオトシゴのゲノムデータを利用して、pgr遺伝子の構造や染色体上の位置関係を調べた結果、14コピーが同一染色体に存在していた。さらに、6種のヨウジウオ科魚類(タツノオトシゴ属2種・ヨウジウオ属1種・イシヨウジ属1種・トゲヨウジ属1種・ヒバシヨウジ属1種)を含む合計15魚種のゲノム配列データを用いて、相同遺伝子の探査を行った。その結果、pgr遺伝子の周辺遺伝子のシンテニーは種間で良く保存されていたが、pgr遺伝子はタツノオトシゴ属2種とヨウジウオ属からのみで見つかり、他のヨウジウオ科魚種を含む12種からはpgr遺伝子は見つからなかった。ヨウジウオ科内でタツノオトシゴ属とヨウジウオ属は系統的に近縁であり、これらの共通祖先でpgr遺伝子が誕生したと考えられる。 pgr遺伝子周辺の配列を調べてみると、多数のトランスポゾンやレトロエレメントがpgr遺伝子近傍で見つかり、タツノオトシゴ属2種とヨウジウオ属1種の間で共通のものも多数あった。また、pgrタンパク質の配列は他のタンパク質とは類似性を示さない新奇なタンパク質だが、配列を詳しく見てみると、エラスチン遺伝子の相補鎖をアミノ酸配列に翻訳した配列と似ていることがわかった。これらの結果から、pgrはエラスチン遺伝子の一部からトランスポゾンもしくはレトロポゾンにより新たに生じたものと考えられる。 本研究は、新奇な遺伝子の誕生が新奇な細胞(flame cone cell)の形成へとつながることを示しており、進化生物学に寄与する発見になった。
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Research Products
(6 results)