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2019 Fiscal Year Research-status Report

ウイルスのように「消える」多核単細胞アメーバ寄生菌の実体解明

Research Project

Project/Area Number 19K06801
Research InstitutionMuroran Institute of Technology

Principal Investigator

矢島 由佳  室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (10587744)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords変形菌 / シスト様菌類 / Cryptomycota / 寄生
Outline of Annual Research Achievements

令和元年度は,1. 新鮮宿主およびシスト様生物の採集,2. シスト様生物の分子系統解析,3. 電子顕微鏡による超微細形態観察に取り組んだ.
1. 新鮮宿主およびシスト様生物の採集:本現象は根雪の融雪下でのみ子実体が確認される好雪性変形菌で観察されていることから,北海道および本州の長野,群馬,山形,青森の根雪地域において4月から5月にかけて野外調査を実施した.その結果,宿主変形菌250標本以上が得られた.
2. シスト様生物の分子系統解析:既存採集標本および上記採集標本を用い,宿主試料の状態,DNA抽出方法,PCRに用いるプライマーおよび酵素等について検討し,最適な手法を確立した.当該方法により,シスト様生物の18S rRNA領域の塩基配列を得た.新知見として,シスト様構造が光学および透過型電子顕微鏡下で確認できないような標本からも,シスト様構造の塩基配列が増幅されることが見出された.さらに分子系統解析を実施し,系統を検証する上で重要な知見が得られ,学会発表を行なった.
3. 電子顕微鏡による超微細形態観察:宿主細胞およびシスト様生物の細胞の構造についての解析を進め,基礎知見を蓄積した.宿主変形菌の1子実体の胞子すべてでシスト様生物が存在しているのではなく,一部の変形菌胞子は核や特徴的なミトコンドリアが観察されるなど,健全であることが明らかとなった.一方で,シスト様生物が細胞内に見られた場合は,宿主変形菌の細胞内小器官や細胞質の分解が見られることが示された.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

1. 新鮮宿主およびシスト様生物の採集:野外調査では目標としていた200標本を大幅に上回る250標本以上を得ることができた.この成果に基づき,以下の当初計画項目2, 3が実施できた.
2. シスト様生物の分子系統解析:シスト様生物は変形菌の子嚢壁および胞子壁に包まれており,さらに自身のシスト壁を有することから常法でのDNA抽出および解析が困難であるため,登録配列は本研究以前に1点しかなかった.本研究では,抽出方法の最適化により複数標本の抽出ならびに解析に成功した.またこれまでシスト様生物の存在有無は光学顕微鏡ならびに透過型電子顕微鏡を用いた観察でのみ確認されていたが,今回新たに構造が確認できない標本からも存在が確認できるようになった.
3. 電子顕微鏡による超微細形態観察:当初予定した連続切片SEM法は,当該法の観察に借用可能なSEMがなく実施不可であったため,光学顕微鏡切片観察ならびに透過型電子顕微鏡観察の併用により,広域の観察を実施した.その結果,変形菌細胞内におけるそれぞれの位置関係を検証できた.さらに新鮮標本を用いた透過型電子顕微鏡観察により,宿主変形菌とシスト様生物両方の超微細形態を明らかにすることができた.
以上より総合的に,十分な標本数の確保,DNA抽出方法の最適化および新規現象の発見,ならびに超微細形態の観察結果を得ることができ,本研究の遂行はおおむね順調に進展していると判断できる.

Strategy for Future Research Activity

本年度の調査により,目標より多くの宿主変形菌標本が得られたが,そのうちシスト様生物の存在が確認できているのは数%となっているため,今後もさらに調査を継続する.また本年度の後半に,シスト様構造が確認できない健常と思われる変形菌子実体からもシスト様生物の塩基配列が確認できることが明らかとなったため,多数の未検討標本があることから,これらの標本のPCRによる検証も今後追加実施する.系統解析では複数地域の標本を元に解析を進め地理的分化の有無なども検証を進める.超微細形態観察では,当年度採集の新鮮標本が得られた場合には急速凍結・凍結置換固定法を検証し,より精細な構造を明らかとすることを目指す.また,各種染色法やイメージング等により細胞内挙動を検証し,関連分子ならびに機構の検証を目指す.

  • Research Products

    (1 results)

All 2019

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 好雪性変形菌Lamproderma属種に細胞内寄生する菌類2019

    • Author(s)
      矢島由佳,石田大祐,瀬戸健介,出川洋介,稲葉重樹,星野保
    • Organizer
      日本菌学会第63回大会

URL: 

Published: 2021-01-27  

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