2020 Fiscal Year Research-status Report
シカがもたらす葉サイズの進化と可塑性の変化ー葉サイズ制御の分子機構の解明
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19K06805
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
石川 直子 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 特任講師 (20771322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪口 翔太 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (50726809)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 可塑性 / 環境ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の形態は、生育地における長期的な環境ストレスに適応して遺伝的に分化する一方、乾燥や傷害などの短期的な環境ストレスに随時応答して可塑的に調整される。またこの表現型の可塑性について、変動が大きい環境下では可塑性の幅が広がり、逆に安定した環境下ではその幅が狭まるよう選択される可能性が指摘されている。申請研究では、シカ生息密度が高い場所で平行進化したとされるオオバコの矮化形質に注目し、矮化型にみられる葉の小型化や葉柄が地面に平伏する形質(平伏性)の遺伝分化が可塑性の幅の変化によるかを検証する。 令和2年度は、普通型と矮化型オオバコの葉柄の平伏性の有無と、遠赤色光あるいは重力/白色光への葉柄の応答性の関連について検討した。その結果、両タイプのオオバコはいずれも遠赤色光および重力/白色光に速やかに応答して葉柄の角度を変化させるが、その変化量および変化速度には相違がないことが明らかになった。また奈良公園の矮化オオバコにみられる葉の小型化や平伏した葉柄の分化を司る遺伝子座を同定するため、下記ゲノム関連の解析を実施中である。 1)普通型オオバコの全ゲノム配列決定 2)奈良公園で選択を受けた遺伝子座を同定するための、普通型および奈良公園の矮化型オオバコのPool-seq解析 3)葉の小型化および葉柄の平伏性に関わる遺伝子座を同定するための、普通型と奈良公園の矮化型オオバコの人工交配より得られたF2集団のQTL-seq解析
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は葉柄角度調節に関わる環境ストレスの影響を検証するための実験系を確立することができた。また矮化関連の遺伝子座を同定するためのゲノム解析も予定通り進行中である。こうした状況より申請研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、オオバコの葉サイズおよび葉柄角度の調節に関わる環境ストレスを同定するため、各種植物ホルモンの影響を検討する。また奈良公園での矮化型分化を司る遺伝子座を決定するためのゲノム解析を引き続き行う。
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Causes of Carryover |
植物の生育不良により、植物ホルモンを用いた解析を行うことができず次年度使用額が生じた。 未使用額は、次年度に当該の解析を行うために充てることとしたい。
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Research Products
(2 results)