2021 Fiscal Year Annual Research Report
Ecophysiological and population genetic study on red algae showing isomorphic life cycle
Project/Area Number |
19K06806
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
神谷 充伸 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (00281139)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 紅藻 / 世代交代 / 生活環 / 生存戦略 / 配偶体 / 胞子体 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの調査により、同所的に生育するツノマタ類2種において優占する世代が異なること、世代間で藻体の破断強度や水分含有量が異なり、それが世代の偏りに関係する可能性があることが明らかになった。そこで今年度は、イボツノマタとツノマタの世代比が生長や成熟とともにどのように変動するかを把握するため、世代比とともに藻体の湿重量、成熟率、水分含有量を定期的に調査した。両種ともに、12月に藻体の芽生えが観察され、4・5月に藻体湿重量がピークに達した後、大型の藻体は消失し始めた。どちらの種も胞子体の方が配偶体よりも1ヶ月早く藻体湿重量がピークに達したが、どの月も世代間の藻体湿重量に有意差は見られなかった。配偶体の割合については、イボツノマタは80-97%、ツノマタでは4-27%と大きく異なっており、発生初期から消失するまで配偶体の割合が大きく変動することはなかった。成熟率については、イボツノマタでは胞子体(50-100%)の方が配偶体(4-68%)よりも成熟した個体が多かったのに対し、ツノマタではどちらの世代もほぼすべて成熟していた。配偶体が胞子体よりも有意に水分含有量が高かったのは、イボツノマタは4月、ツノマタは5月のみで、それ以外の月は世代間で有意差は見られなかった。 以上の結果をもとに世代比が偏る要因について考察すると、冬季の発生初期からイボツノマタは配偶体、ツノマタは胞子体が優占していたこと、常に一方の世代が優占し続けることから、胞子の供給によって個体群が維持されているのではなく、藻体の直立体が消失した後も基部が残存し、そこから直立体が再生することで個体群が維持されている可能性が高いと考えられる。しかしながら、種間で優占する世代が異なる理由は依然として不明であり、今後は世代間の生理特性の比較や、胞子による新規加入の頻度調査などにより、この問題を解明する必要がある。
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[Journal Article] Japan's nationwide long‐term monitoring survey of seaweed communities known as the “Monitoring Sites 1000 ”: Ten‐year overview and future perspectives2021
Author(s)
Terada Ryuta, Abe Mahiko, Abe Takuzo, Aoki Masakazu, Dazai Akihiro, Endo Hikaru, Kamiya Mitsunobu, Kawai Hiroshi, Kurashima Akira, Motomura Taizo, Murase Noboru, Sakanishi Yoshihiko, Shimabukuro Hiromori, Tanaka Jiro, Yoshida Goro & Aoki Misuzu
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Journal Title
Phycological Research
Volume: 69
Pages: 12~30
DOI
Peer Reviewed
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