2022 Fiscal Year Annual Research Report
A study of diversity of minute brown algae using culture and molecular analyses
Project/Area Number |
19K06817
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小亀 一弘 北海道大学, 理学研究院, 教授 (80215219)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 褐藻 / 微小褐藻 / DNAバーコーディング / COI / cox1 / 分子系統 |
Outline of Annual Research Achievements |
褐藻類には,数cm以下の微小な種が多く存在するが,形態が単純なために同定が難しく,その多様性についての理解は未だ不十分である。本研究は,微小褐藻について,多くの培養株を確立し,DNAバーコーディングにより,その多様性を解明することが目的である。 令和3年度までに,日本各地の海岸18地点で採取された砂や岩,大型藻,海草の断片を培養し,培養中に出現してきた微小な褐藻類を単離し,358株の培養株を確立していた。そのうち231株について,チトクローム酸化酵素サブユニットI遺伝子(COI)の部分配列を決定していた。令和4年度においても培養株の単離とCOI配列の決定を進め,これまで,18地点から368株を得て,245株について配列情報を得た。それらの配列とDNA Data Bankからダウンロードした149のレファレンス配列をアラインメントし,Neighbour-Joining法を用いて系統樹を作成した。得られた配列は,4株を除いて,全て,Ectocarpalesに位置した。また,ASAPによる種境界解析で得られた1.8%の塩基配列の違いで種境界を設定すると,この245株は62種に分かれた。そのうち,レファレンス配列から種を同定できたものは24種,属まで同定できた種は5種,レファレンス配列との比較において,属・種名いずれも不明な種は36種であった。異形世代交代を行う種の微小世代であったものは12種であった。レファレンス配列から種を同定できたもののうち,5種が日本新産と考えられた。それらは,Microspongium stilophorae (P. Crouan & H. Crouan) Cormaci & G. Furnari,Ectocarpus fascicularis Harvey,Ectocarpus subulatus Kuetzing,Ectocarpus crouaniorum Thuret,Hincksia onslowensis (Amsler & Kapraun) P.C. Silvaであった。本研究で得られたCOI部分塩基配列をDDBJに登録した。
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