2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K06823
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
新田 梢 麻布大学, 生命・環境科学部, 特任助教 (60589448)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 進化 / 種分化 / 植物ゲノム / 送粉 / 開花時間 / ゲノミクス / トランスクリプトーム / RNA-Seq |
Outline of Annual Research Achievements |
キスゲ(ワスレグサ)属のハマカンゾウとキスゲは対照的な花形質をもつ。ハマカンゾウは、早朝に花を咲かせて、その日の夕方から夜に花を閉じる昼咲きの花である。一方、キスゲは別名「ユウスゲ」ともよばれ、夕方から咲き始め、翌日の朝に閉じる夜咲きである。 本研究では、送粉適応した花形質が、ハマカンゾウのような昼咲きのアゲハチョウ媒の状態からキスゲの夜咲きのスズメガ媒の状態へと進化する機構を解明するため、特に、開花時刻の違いに関与する遺伝子「花時計遺伝子」を特定することを目的に研究を進めている。 2019年度から行っているゲノムシーケンスの解析をすすめ、2021年度には、アセンブルしたハマカンゾウとキスゲのゲノム情報に対してBLAST検索を行い、植物の概日時計の遺伝子として知られるTOC1遺伝子の候補配列を得た。 この遺伝子配列は、ドメイン検索の結果、ARR-Likeファミリーに類し、さらにTOC1遺伝子と同一のAPRR1ファミリーがヒットした。TOC1遺伝子にはC末端側にCCTモチーフが存在することが知られており、候補配列にも、C末端にCCTモチーフが存在したことから、TOC1遺伝子である可能性が高い。ハマカンゾウとキスゲの配列を比較したところ、1塩基だけが異なりハマカンゾウがGでキスゲがTだった。候補配列をアミノ酸配列に変換すると配列は同じだった。よって、TOC1遺伝子については、遺伝子の機能自体は同じ働きをしていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大による出張計画の変更や充分な研究時間が確保できなかった影響により、ゲノム解析が遅れていた。
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Strategy for Future Research Activity |
配列データの解析を進める。特に、時計遺伝子に関する探索とハマカンゾウとキスゲでの配列比較をすすめる。共同研究者と定期的に連絡を取り、研究時間の確保に努める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大による出張計画の変更や充分な研究時間が確保できなかった影響により、充分に研究活動を進めることが困難であり、次年度に使用することとなった。主に分子実験の試薬・消耗品等の購入や、研究成果発表に必要な経費に使用する計画である。
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