2019 Fiscal Year Research-status Report
A comparative study on deep sublittoral marine algal floras between the Boso Peninsula and Ogasawara Islands, Japan
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19K06830
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
北山 太樹 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (20270407)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小笠原 / 海藻相 / 植物地理学 / 藻類 |
Outline of Annual Research Achievements |
四方を海に囲まれ南北に長い日本列島では、海藻の地理的(水平)分布は親潮や黒潮など複数の寒流と暖流の影響を受けて多様な海藻相を生じている。本研究は、これらの海流の影響下にない小笠原諸島の海藻相を新たな新区として提唱するため、同諸島と房総半島の両方から基礎的情報を収集するもので、本年度は令和元年8月に千葉県いすみ市大原、令和2年2月に小笠原諸島父島二見湾で、採集調査を実施し標本試料を収集した。 大原では、大原沖の器械根(水深20~30m)で行われるイセエビ漁で網に掛かる藻体を収集し、アオサ藻(緑藻)のフジノハヅタ、褐藻のイチメガサ、紅藻のカクレスジ、ハスジギヌ、ハスジグサなどを得た。これらは、本州太平洋沿岸の深所から稀に得られる海藻種で小笠原諸島からは産出記録がなく、小笠原の海藻相とは深所においても相違があることがうかがえた。 父島では、冬期の海藻生育状況を把握するため2月に潮間帯・低調線付近の調査を行い、アオサ藻のフデノホ、ヨレヅタ、褐藻のグンセンクロガシラ、ジガミグサ、シワヤハズ、紅藻のコケモドキなどを採取した。浅所においては南西諸島と共通するものが多いことに加えて、父島ではこの季節の海藻相は著しく貧弱であることが分かった。また、今回の小笠原では環境省生物多様性センターの協力が得られ、聟島のサンプルとして紅藻ケコナハダを入手した。 これまでに得られた試料からは、小笠原の海藻相が浅所において南西諸島を含むアジア・オセアニアの亜熱帯域と共通する要素をもつことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
計画では、初年度に小笠原で2回の現地調査などを予定していたが、妻が乳癌になり6ヶ月の治療入院の末に死去したため、予定していた調査研究の大部分を次年度に延期せざるをえなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス禍のためしばらくは現地調査が行えない状況が続くが、これまでに得られている試料・標本の解析を続けながら、年度後半に状況が改善次第、現地調査を行えるよう準備したい。
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Causes of Carryover |
初年度に小笠原で2回の現地調査などを予定していたが、妻が乳癌になり6ヶ月間の治療入院の末に死去したことにより、予定していた調査研究の大部分を中止したため。
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Remarks |
群馬県立自然史博物館第61回企画展「海の森-海藻たちのワンダーランド」図録(2019)に「小笠原諸島の深所性海藻」(pp. 26-27)を執筆。
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