2020 Fiscal Year Research-status Report
増えすぎたシカはヒグマにとって恵みか災いか? ヒグマとシカの種間関係に関する研究
Project/Area Number |
19K06833
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
下鶴 倫人 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (50507168)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヒグマ / エゾシカ / 種間関係 / 食性 / DNAバーコーディング / 安定同位体比解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、シカの増加がヒグマの生態に与える正および負の影響を明らかにし、両種の種間相互作用を解明することを目的とする。知床半島においてシカ・ヒグマの生息密度が異なる3地域(知床岬・ルシャ地区・幌別岩尾別地区)を対象として、ヒグマの糞・体毛を回収し、DNAバーコーディング法、体毛の安定同位体比解析などを用いてシカの生息密度の違いがヒグマの食性・栄養状態に与える影響を調べる。2020年度は、1)各地域よりヒグマの糞・体毛、およびシカ糞を収集すること、2)収集したヒグマ糞を分析しシカの利用頻度を地域間で比較すること、3)ヒグマの糞およびシカ糞を用いたDNAバーコーデイング法を行うこと、4)ヒグマの体毛を用いた安定同位体比分析により、シカの利用度の地域差を明らかにすること、を目的とした。1)および2)では、知床岬・ルシャ地区において、シカの出産時期である6月にそれぞれ28個、35個のヒグマ糞を収集した。糞内容物を確認した結果、シカが含まれる割合はそれぞれ7.1%、17.1%であった。これらのことから、ルシャ地区ではヒグマが高い頻度でシカ新生子を捕食しているものと考えられた。3)については、収集したヒグマ糞およびシカ糞よりDNAを抽出し、trnLを対象領域としたDNAバーコーディング法の条件検討を行い、プロトコールを確立した。4)においては、炭素・窒素・硫黄の安定同位体比を解析する条件検討を行い、測定準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響で、6~7月にかけて充分なサンプリングを実施できなかった。このため、DNAバーコーディング、安定同位体比解析に供試するサンプルは2021年も継続して収集した上で、併せて解析に供試することとした。これまでヒグマ糞を用いたDNAバーコーディング法は数例しか行われておらず、手技が充分に確立されていなかったが、DNA抽出条件やPCR条件など充分な条件検討を実施し、準備を整えることができた。これらを総合し、研究はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、昨年度と同じフィールドワークを継続・発展させるとともに、3年間で収集した糞・体毛サンプルを用いたDNAバーコーディング、安定同位体比解析を完了する計画である。
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Causes of Carryover |
次世代シーケンサーを用いたDNAバーコーディング解析について、試料数を考慮して、次年度に併せて実施する方が効率的、低コストであると判断したことから、使用する予定額を来年度へと持ち越すこととした。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Dining from the coast to the summit: Salmon and pine nuts determine the summer body condition of female brown bears on the Shiretoko Peninsula2021
Author(s)
Shirane, Y., Jimbo, M., Yamanaka, M., Nakanishi, M., Mori, F., Ishinazaka, T., Sashika, M., Tsubota, T. and Shimozuru, M.
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Journal Title
Ecology and Evolution
Volume: 11
Pages: 5204-5219
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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