2023 Fiscal Year Annual Research Report
Adaptive radiation in photosynthetic reaction center proteins of photosynthetic bacteria
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19K06858
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
永島 咲子 神奈川大学, 付置研究所, 研究員 (20637037)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 好気性光合成細菌 / 光合成反応中心複合体 / シトクロム / 適応進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では膜タンパク質の高次複合体である光合成反応中心複合体(RC)の機能構造に関する情報の少ない好気性光合成細菌のうち生育環境が特に多様な系統群であるErythrobacter (Porphyrobacter)属について系統解析を行い、適応放散の鍵として、生育環境によって異なる系統の細菌のRCが同じ傾向の進化を受けているという仮説を得たことから、これを検証するものである。これまでに、ゲノム解析情報から得たErythrobacter 属の種々のRCのアミノ酸配列情報を立体構造が既知のRCの構造にあてはめ、立体構造上で変異の起きやすい構造上の領域を特定した。特に塩分環境について、生育環境によって決まった変異の方向性があることに着目し、文献情報から得られた立体構造上の機能部位との比較から、RCへの電子供与シトクロムとの結合に重要な領域と膜内の集光タンパク質の一部と接する領域であることを突き止めた。さらにその特徴は本研究中に申請者らが淡水域から単離したErythrobacter sp. OG32株と最近縁である海洋性のE. sanguieus と間で顕著であった。好気性光合成細菌は海洋性が多い中でErythrobacter属、それも従来Porphyrobacter属とされてきた細菌群に特に淡水性のものが多いことから、元来海洋性であった祖先種が淡水環境に適応する過程でRCとシトクロムや集光タンパク質との相互作用に関する機能構造の適応進化がおきていることが示唆された。さらにこの進化的特徴は電子供与シトクロム側にもあることをゲノム情報から抽出したシトクロムタンパク質のアミノ酸配列の系統解析から明らかにした。本年度は、系統解析結果を精製RCタンパク質の構造解析から検証するために、光合成器官の発現がごく僅かなOG32株の光合成器官の発現量を増大させる培養条件を確立した。
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