2019 Fiscal Year Research-status Report
Validation of gait symmetry and regularity measurement.
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19K06872
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Research Institution | Ishikawa Prefectural Nursing University |
Principal Investigator |
小林 宏光 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (20225535)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歩行 / 対称性 / 加速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は25名の若年者を対象に歩行速度の影響,傾斜角度の影響を検討した。トレッドミル上で1分間の歩行を2.5km/hと4.0km/hの速度2条件,傾斜角度が-15%(Down),0%(Flat),+15%(Up)の3条件の組み合わせで,計6条件で測定した。これらの測定条件についてはほぼ当初の計画通りであるが,計測指標については予備的測定を通じて検討した結果,一部変更した。当初の計画では仙骨部に加え両膝での加速度測定を行い,両膝加速度の相互相関と体幹加速度の自己相関の一致度を検討する計画であったが,胸部と仙骨部の2か所で加速度測定に変更した。これにより自己相関関数による対称性・定常性指標に加え,体幹動揺軌跡のリサジュー図形が得られる。 胸部と仙骨部それぞれの前後方向加速度から得られた歩行対称性は,全般的に仙骨部よりも胸部の方が低い傾向を示した。歩行速度の影響については,遅い歩行の方が対称性が低かったが,この速度による差は胸部加速度による結果の方が明確に表れた。傾斜角度の影響は胸部と仙骨部で異なるパターンを示した。 体幹動揺軌跡のリサジュー図形から算出した最大変位幅は速度・傾斜両方の影響を示した。左右方向及び前後方向の変位幅は同様の変化を示し,傾斜角度については上りで最も変位幅が大きく,また速度が遅いほうが変位幅が大きい傾向を示した。一方,他の軸とは反対に上下方向の変位では速度が速いほうが変位が大きく,また角度の影響でも他の軸とは異なる傾向を示した。この最大変位幅と歩行対称性の間にはほとんど相関はみられなかった。つまり歩行対称性指標の値は身体動揺幅とは独立した独自の意味を持つ指標であるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では,2019年度は小規模な予備実験を通じて機器のセッティング,解析ソフトウェアの開発を行い,被験者実験は2020年度以降に実施する予定であったが,機器のセッティングが比較的順調にできたことから,20代の若年者限定ではあるが25名のデータを得ることができた。この点では計画以上の進展である。ただし,2020年に入ってからは新型コロナの影響で次年度の研究実施に向けての準備が十分できていないのが実情である。これらを総合して「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度行った予備実験の結果では仙骨部よりも胸部加速度の方が歩行速度の影響がより明確に表れた。これまで体幹動揺の定常性評価は,人体の重心位置に近いことから仙骨部の測定が用いられることが多かったが,重心位置に近いことが歩行機能評価において必ずしも最適な測定部位であることを意味しない。このことから,来年度以降の計画では測定部位の違いによる影響も検討目標に加える予定である。 しかしながら,2020年度の研究実施においては,新型コロナの影響で実験の実施ができるかどうか現時点では見通しが立たない状況である。本研究では不特定多数の被験者を対象にした実験を行うので,どうしても感染リスクの高い環境となる。
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Causes of Carryover |
研究の実施はほぼ当初計画通りに進行したが,わずか(1万円以内)の端数が生じた。
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