2022 Fiscal Year Annual Research Report
Validation of gait symmetry and regularity measurement.
Project/Area Number |
19K06872
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Research Institution | Ishikawa Prefectural Nursing University |
Principal Investigator |
小林 宏光 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (20225535)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歩行 / 左右対称性 / 加速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、歩行速度と傾斜角度が体幹動揺特性に与える影響を明らかにすることである。2020年度と2021年度に測定を行い,25-54歳の健康な男性被験者79名の歩行データが取得できた。測定条件は2020年度と2021年度でわずかに異なるが,基本的には①歩行速度(2, 3, 4, 5, 6km/h)の影響、②傾斜角度(0, 5, 10, 15%)の影響(速度は4km/h),③8分連続歩行(4km/h,傾斜10%)による疲労の影響,の3つの条件に付いて測定を行った。COVID-19流行中での実験実施であったにもかかわらず,ほぼ計画通りのデータ取得ができたといえる。 これらの結果から以下の点が明らかになった。歩行対称性・定常性指標は速度が一定の場合には傾斜角度(0~15度)の影響は比較的小さく,仙骨部と脊椎部で異なる変化パターンが得られた。5度傾斜の際に最も歩幅が長くなり,15度では0度(水平)とほぼ同じ歩幅になるなど,傾斜角度に対して非線形な反応が得られた。傾斜路の連続歩行においては心拍数は150bpm程度まで上昇したものの,疲労に伴う対称性・定常性指標の明確な低下は見られなかった。 通常の自己相関関数を用いた場合,歩行対称性・定常性指標に対して速度の影響が最も支配的であり2~6km/hの範囲内では歩行速度が速いほど対称性・定常性は向上した。自己相関関数をunbiased autocorrelationによって計算した場合には速度の影響はかなり少なくなったものの,それでも速度の影響がわずかながら見られた。この結果から歩行速度が異なる群間の比較をする場合には注意が必要であることが示唆された。これらの定性的な知見に加えて,歩行指標の平均値,個人差特性などリファレンスとなる健常男性群の標準値が得られた。これらの結果はこの指標の定量的な解釈につながる知見であると思われる。
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