2019 Fiscal Year Research-status Report
把握運動における道具使用の有無と課題難易度の観点からみた利き手形成機序の解明
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19K06874
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
青木 朋子 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (50433412)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 手 / 指 / 利き手 / 道具 / 動作分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、健常な右利き若年者12名を対象に、使い慣れた道具(箸)、不慣れな道具(止血用ハサミ)、あるいは指によって、3軸フォースセンターを配備した物体を把握し、側面から正面にあるターゲットまで移動させる課題を右手、左手それぞれで実施する実験を行った。3次元モーション計測システムを用いて、ターゲット、物体、母指の各関節、示指の各関節にマーカーを貼り、課題時の位置を調べた。 データ分析が終了した6名では、道具あるいは指が物体に触れてから、ターゲットに移動させるまでの所要時間は、指で最も速く、箸とハサミでは同程度に遅くなることがわかった。また、指では所要時間に左右差はみられなかったが、特に、箸では利き手である右手の所要時間が左手に比べて顕著に遅いことがわかった。ターゲットと物体のずれについては、箸、ハサミ、指でほとんど差は見られなかった。また、3つの条件すべてで、右手と左手でほぼ違いは見られず、すべての条件において、被験者は正確に課題を行っていることがわかった。物体把握時の最大把握力は、箸と指の条件では、右手、左手ともに同程度の値となったが、ハサミでは右手、左手の両方で極端に強い力が発揮されており、不慣れな道具を扱ったことの影響が考えられる。今後は、母指と示指の関節の動きを分析するとともに、残りの被験者のデータ分析も進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度で右利き被験者の実験は終了し、現在、データ分析を行っている。2020年度は、5月から左利き者を対象に同様の実験を行う予定だったが、現在、新型コロナウイルスの影響で、人を被験者とする実験を行うことは困難であり、感染拡大収束後に、実験を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、左利き者を対象に同様の実験を実施する予定だったが、現在、新型コロナウイルスの影響で、人を被験者とする実験が実施できない状況にある。今後、感染拡大が収束すれば予定通り、実験を行うが、完全に感染が収束しない場合には、3密を避ける、実験装置をアルコール消毒するといった対策も検討する必要があるかもしれない。
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Causes of Carryover |
2019年度末に予定していた出張が新型コロナウイルスの影響で中止になったこと、年度末に行う予定だった予備実験を新型コロナウイルスの影響で実施できなかったことによって、次年度使用額が生じた。 2020年度もすでに、新型コロナウイルスの影響で、予定していた出張は今のところすべて中止になっているので、次年度使用額は物品費として使用し、実験設備を充実させる予定である。
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