2020 Fiscal Year Research-status Report
Physiological regulation of retinal cells mediating circaidna photoentrainment by clock genes in human and mouse
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19K06876
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
高雄 元晴 東海大学, 情報理工学部, 教授 (90408013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小崎 智照 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (80380715)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 網膜 / 網膜電図 / 内因性光感受性網膜神経節細胞 / マウス / ヒト |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はコロナ禍により実験の実施が非常に困難な状況となった。そのため、動物実験に関しては予定していた実験を終えることができなかった。視細胞層を欠失させたマウスの剥離網膜標本を用いて、局所網膜電図(microERG)を記録した。その結果、内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGC)が最も高い感度を有する440nm付近の波長にのみ光反応を示した。この結果から、microERGはipRGCの光反応であることを強く示唆された。次にmicroERGを指標にipRGCの心理物理学的特性について詳細に検討した。これまでホールセルパッチクランプ記録により得られている結果では時間応答特性は極めて低いことが報告されている。一方microERGにおいては5msの光にも応答した。またホールセルパッチクランプ記録と同様に長時間にわたって持続的に応答しつづけた。これらの特性に対する光の輝度依存性はパッチクランプ記録で得られた結果と比して小さかった。また最大で100Hzの点滅光に応答することができた。duty比を変化させて点滅したところ、duty比が高くなると同じ刺激時間であってもむしろ時間応答特性が低くなった。薬理学的解析など、本年度未達であった研究も含め、次年度は予定期間内ですべての研究を完遂させたい。 またヒトの網膜電位を用いた研究でもコロナ禍のため実験に制限があったものの、実験可能な範囲で結果を得た。本年度の成果としては短波長と長波長の異なる光の30Hz点滅光に対する定常型網膜電位を朝と夕方で測定したところ、短波長の点滅光に対する網膜電位においてのみ日内差が認められた。ipRGCが主に短波長の光に反応することから、この結果はipRGCの光感受性には日内変動があることを示唆する。しかし、この日内変動が時計遺伝子に由来するのか、単に光に対する順応であるのか不明であるので、次年度はその点について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は年度当初から新型コロナの感染拡大に見舞われ、ほぼ半年間大学施設がロックダウンすることになったため全く研究をおこえなくなった。またロックダウン一部解除後も、感染防止に向けて多くの規制がかかったため安全かつ円滑に研究を実施することができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在もコロナ禍の状況は予測さえつかない状況に以前ある。しかしながら一年間でコロナ感染対策をとりながら研究を進めていける体制に大学がなってきており、また大学のアドバイスをもらいながら実験室環境においても換気を十分に確保しながら暗室を設けるなどの対応がとれるようになった。今後は、この環境において薬理学的実験など昨年度未達成であった予定も含めて予定通り研究を完了させたい。
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Causes of Carryover |
本年度当初にすでに顕在化した新型ウイルス感染拡大により研究の実施に大きな制限がかかった。そのため研究計画を大きく遅れることとなった。次年度は大学におけるコロナ対策を取った上で施設利用が十分可能になることから、本年度できなかった部分を含め予定している研究をすべて完遂する予定である。
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