2021 Fiscal Year Annual Research Report
小脳苔状線維で符号化される運動命令や感覚情報の解読:複数線維の同時観察による解明
Project/Area Number |
19K06883
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
真仁田 聡 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (80584135)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 到達・把持運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、運動命令や感覚情報が小脳の苔状線維においてどのように表現されているかを明らかにすることである。今年度では、マウスの前肢を使った到達・把持運動システム装置の開発をまとめ論文として発表した。この装置を用いることでマウスの前肢の動きの詳細が定量可能になった。頭部固定下であるので、顕微鏡下におけるイメージング、電気生理学的手法の適応も可能になった。また、食品用ラップを用いた広域(6×3mm)窓の作製法を開発した。大きな窓にもかかわらず、激しい脳振動は観察されなかった。また、1ヶ月以上、脳表面の状態が悪くなることはなかった。カルシウムセンサーのひとつであるGCaMP6fをアストロサイトに特異的に発現させたマウスの広視野イメージングでは、数ミリの範囲で同期した応答が見られた。同じマウスの2光子イメージングでは、個々のアストロサイトで数秒間に渡って顕著なカルシウム応答が確認された。さらに、食品ラップ上にアデノ随伴ウイルスを薄く塗布し、頭蓋窓全域の大脳皮質のニューロンにカルシウムセンサーを発現させることに成功した。本手法は、大きな頭蓋窓を作ることができる効率的で簡便・低価格な方法であり、到達・把持運動時の神経とグリアの動態とその相互作用を巨視的、微視的に調べることが容易となる。これらの成果を論文としてまとめ、投稿した。
|