2019 Fiscal Year Research-status Report
幼少期の神経活動依存的な神経経路の発達におけるNP関連ペプチドとその受容体の機能
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19K06888
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
浜崎 浩子 北里大学, 一般教育部, 教授 (00211483)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ナトリウム利尿ペプチド / ヒヨコ / インプリンティング行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
終脳におけるOSTNのバリアントの発現を調べたところ、7つのバリアントのうち、あるエクソンを第1エクソンとする2つのバリアントが、刷込み行動に重要な領域であるvisual Wulst(VW)に発現していることがわかった。一方、NPR3は、7つのバリアントのすべてがVWで発現していた。OSTN、CNP3、NPR3の発現解析とOSTN発現細胞の特性解析を行うために、OSTN、CNP3とNPR3抗体の作成を試みた。そのうち、CNP3抗体については免疫組織化学に使用できることがわかった。この抗体を活用することにより、今後、このOSTN発現細胞とCNP発現細胞の分布や機能における関連を調べていく。 OSTNとNPRsの親和性、さらにCNP3との関係について調べるために必要となる、安定発現細胞株の作成を行った。HEK293細胞にNPR1、NPR2、NPR3(4種類のバリアント)、AP(アルカリフォスファターゼ)融合OSTN、コントロールとしてEGFP、をそれぞれ発現させ、薬剤による選別を行って候補となるクローンを保存した。AP融合OSTN発現細胞については、呈色反応により細胞培養液中にAPの活性が認められることを確認した。安定発現細胞株を使うことで、OSTNとNPR3の結合がCNP3の活性に与える影響などをより定量的に調べられることになる。 ニューロンの形態変化に及ぼすOSTNの影響について、ニワトリ胚期の脳をスライス培養し、エレクトロポレーションによりEGFPを発現させておき、OSTNの添加による神経突起数の変化を調べた。その結果、OSTNにより神経突起の伸長が制御されていることが示唆される結果が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
終脳におけるOSTN、CNP3、NPR3の発現解析について、胚時期から孵化後7日目までのバリアントの解析も含めて、VWでの発現をとらえることができた。また、CNP3抗体を得られたことは、OSTN発現細胞やNPR3発現細胞の特性の解析に有益である。 OSTNと各種NPRの親和性を調べる上で重要なツールである安定細胞株の作成の目途が立ったことで、研究の進展が期待できる。 OSTNの作用による胚時期の神経細胞の突起形成の制御を示唆することができた。これは、インプリンティングによるOSTNの発現変化と神経細胞の突起形成制御の可能性を示しており、重要な知見である。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたCNP3抗体も用いて、OSTN発現細胞の特性、すなわち興奮性細胞であるか抑制性細胞であるか、CNP3や各NPRを発現するのかどうか、についての詳細な検討を免疫組織化学、ISH(mRNAの発現)により行っていく。 各NPR安定発現細胞を用いて、AP融合OSTNを細胞に添加し、APによる呈色反応を用いてOSTNの各NPRとの親和性を比較する。さらに、NPR1(またはNPR2)発現細胞、NPR3発現細胞を用いて、AP融合OSTNを添加し、NPR3のクリアランス受容体としての機能を明らかにする。 胚時期の神経細胞の突起形成へのOSTNの作用をさらに明らかにするために、OSTNの作用を抑制した時の効果を調べる。また、OSTNが結合するNPRの下流のシグナル伝達経路を調べていく。
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Causes of Carryover |
前倒し申請額の範囲を超えないように使用しようとしたため。 前年度に購入しなかった消耗品で次年度も必要となるもの、たとえば細胞培養で必要となるものの購入に充てる予定である。
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