2020 Fiscal Year Research-status Report
幼少期の神経活動依存的な神経経路の発達におけるNP関連ペプチドとその受容体の機能
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19K06888
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
浜崎 浩子 北里大学, 一般教育部, 教授 (00211483)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ナトリウム利尿ペプチド関連ペプチド / ニワトリ / インプリンティング行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒヨコ脳における発現解析により、ナトリウム利尿ペプチド(NP)の1つであるCNP3は、終脳の背側部のみならず、扁桃体でも発現していることが明らかとなった。CNP3の発現する領域では、インプリンティングを引き起こす学習により、神経細胞の活性化の指標となるc-Fosの発現が見られた。そこで、インプリンティングの学習や記憶が固定される過程における扁桃体でのCNP3の発現変化をリアルタイムPCR法により調べた。その結果、孵化後1日で30分間の学習を経験した場合には、学習後3時間で学習を経験しなかった場合と比べてCNP3の発現が有意に増加していた。われわれは、CNP3は終脳の背側部で発現し、学習効率を高めることをすでに明らかにしているが、上記の結果は、CNP3は扁桃体でもインプリンティングによって引き起こされる神経系の可塑的変化に関与し、社会性を制御する可能性を示していた。一方、もう1つのNPであるBNP、およびNP関連ペプチドであるOSTNも扁桃体のCNP3とは異なる領域でそれぞれ発現していることが明らかとなった。しかし、これらのペプチドはどちらもインプリンティングの学習や記憶が固定される過程における扁桃体での発現変化は検出できなかった。 OSTNは、胚時期におけるニューロンの形態変化に対して作用することを示すデータが既に得られていた。そこで、RNAiを用いてさらに調べたところ、これまでに知られている3種類のNP受容体のうち、1つのNP受容体が関与する可能性を示唆する結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
終脳におけるNPおよびNP関連ペプチドの発現解析については、扁桃体での新たなデータが得られ、インプリンティングとの関連を示すことができた。NP関連ペプチドのニューロンの形態変化への影響については、受容体の働きに注目することができた。以上より、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
OSTNとcGMP非産生型NP受容体の親和性について調べるために、アルカリホスファターゼ融合OSTNを作成して実験を行っているが、明確な結論を示すデータが得られていないため、精製や濃縮等を検討していく。バリアントも含めて3種類のNP受容体を安定に発現する細胞株を作成したので、今後、それらを使ってNP関連ペプチドの競合によるcGMP産生の変化について調べていく予定である。
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Causes of Carryover |
前年度に購入しなかった消耗品で次年度も必要となるものの購入に充てる予定である。
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