2021 Fiscal Year Research-status Report
幼少期の神経活動依存的な神経経路の発達におけるNP関連ペプチドとその受容体の機能
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19K06888
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
浜崎 浩子 北里大学, 一般教育部, 教授 (00211483)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ナトリウム利尿ペプチド / ニワトリ / インプリンティング行動 / 扁桃体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ナトリウム利尿ペプチド(NP)や関連ペプチドであるCNP、BNP等がどのように神経活動依存的に脳の神経回路形成を制御するのか、ニワトリ幼雛で見られるインプリンティング(刷込み)を対象として調べることを目的としている。 CNPは、インプリンティングの成立に不可欠な終脳背側部のほか、扁桃体にも発現することはすでに報告した。今回、詳細な解析により、ヒヨコ扁桃体でのCNPの発現領域は、哺乳類の扁桃体内側部に当たることが明らかになった。この部位は対象からの防御や逃避、あるいは接近といった行動を制御する領域として知られている。そこで、インプリンティングが社会性の発達に与える影響について、新たな視点で行動実験による解析を行った。すなわち、図形に対するインプリンティング学習を1羽で行った場合と、2羽で行った場合の追従の変化を調べた。その結果、すでに強く刷込まれたヒヨコと共にトレーニングを受けたヒヨコは、新規刺激に対する逃避行動が強くなることがわかった。これは、インプリンティングが他個体の影響により、逃避行動の強化にも関与することを示す新たな知見である。扁桃体に発現するCNPは、刷込まれた対象への追従行動と目新しい対象への逃避行動の両方に関連する回路を制御する可能性を示している。 ヒヨコ扁桃体では、CNPの他にBNPとOSTNが発現する。NP受容体(NPR1, NPR2, NPR3)をそれぞれHEK293細胞に発現させて調べると、CNPとBNPはNPR1とNPR2を活性化して細胞内のcGMPを上昇させることはすでに報告した。OSTNはこの変化を引き起こさず、NPR3の特定のバリアント(v1)をもつ細胞のcAMP濃度を減少させることが示唆された。また、OSTNにアルカリフォスファターゼを結合させたAP-OSTNを用いた実験により、OSTNはNPR3のv1に結合することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究成果の論文による公表が未達成であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
NPやNP関連ペプチドの働きの1つとして、神経細胞の形態変化が示唆されている。そこで、インプリンティング学習後のNP関連ペプチドの発現変化と、NP受容体をもつ神経細胞の活性化や形態変化との関連について明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
細胞内シグナル伝達物質の測定に、予定数以上のEIAキットが必要となった。このキットは高額であるため、残額では購入できなかった。そのため、次年度使用額が生じてしまった。 残額と次年度予算の一部を合わせて、このキットの購入に充てる予定である。
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