2020 Fiscal Year Research-status Report
神経細胞におけるクラスII ARFの膜輸送機構の解明
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19K06900
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
定方 哲史 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (90391961)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | PHYHIPL / SNP / cerebellum |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトSNPに関する大量のデータが、NCBI等の世界中のSNPデータベースに日々蓄積されている。これらは様々な国で大規模で調べられたSNPがアップロードされ、公開されているものである。このデータベースに関しては、様々な検索法が可能であり、有益な情報を抽出することが可能である。 SNPの中には、多数の健常者においてヘテロで同定されているにも関わらず、ホモで有する健常者が同定されていないものがある。ホモで有する場合、何らかの疾患を発症するためと考えられる。実際にそのようなSNPの殆どに関して、特定の疾患との関連が報告されている。しかし、極めて少数であるが、疾患との関連が未だ報告されてないものがある。 phytanoyl-CoA 2-hydroxylase interacting protein-like (PHYHIPL)は脳に特異的な発現を示すが機能不明の遺伝子である。開始コドン直後の19番目のセリンが終止コドンに置き換わる点変異がヒトにおいて同定されていることがデータベースの検索により分かった。さらに、この変異をヘテロで有する健常者が多数同定されているにも関わらず、ホモで有する健常者は見つかっていなかった。つまり何らかの疾患に関与している可能性が高い。 我々はCRISPR/Cas9システムによりPHYHIPLのヒトで同定された変異を導入したマウスを作製し、解析を行った。その結果、このマウスは小脳プルキンエ細胞の形態の異常、プルキンエ細胞に投射する登上線維の異常、プルキンエ細胞に投射する抑制性シナプスの減少、小脳性強調運動の異常を示した。これらの結果から、この変異は何らかの小脳関連疾患の原因である可能性が示唆された。 今回の報告内容により遺伝子の変異と疾患の関連性を示唆することで、今まで収集されてきたSNPデータを有効に利用する研究ストラテジーを示すことができたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画は以下の論文で報告済みである。 Deletion of class II ARFs in mice causes tremor by the Nav1.6 loss in cerebellar Purkinje cell axon initial segments.Nobutake Hosoi, Koji Shibasaki, Mayu Hosono, Ayumu Konno, Yo Shinoda, Hiroshi Kiyonari, Kenichi Inoue, Shin-ichi Muramatsu, Yasuki Ishizaki, Hirokazu Hirai, Teiichi Furuichi, Tetsushi Sadakata.Journal of Neuroscience. 39 (32), p6339-6353 (2019). 今回はさらに進展した内容を以下の論文にて発表した。 The Ser19Stop single nucleotide polymorphism (SNP) of human PHYHIPL affects the cerebellum in mice.Hisako Sugimoto, Takuro Horii, Jun-Na Hirota, Yoshitake Sano, Yo Shinoda, Ayumu Konno, Hirokazu Hirai, Yasuki Ishizaki, Hajime Hirase, Izuho Hatada, Teiichi Furuichi, Tetsushi Sadakata.Molecular Brain. 14(1): 52, p1-9 (2021).
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Strategy for Future Research Activity |
Synaptotagmin Iは、小胞が分泌する際のカルシウムセンサーとして知られるタンパク質である。遺伝子解析において、199番目のアルギニンが終止コドンに置き換わる点変異が同定されている(この変異によりN末側のC2Aドメインの途中で終止コドンが入る)。この変異を挿入したマウスを作製したところ、ホモ接合体は全欠失変異マウス以上に早い段階(生後直後)で死亡した(論文未発表)。 Semaphorin 4Cは、Plexin-B2と結合する一回膜貫通タンパク質であり、693番目のグルタミン酸が終止コドンに置き換わる点変異が同定されている。この変異は、ほぼ細胞内領域が欠失したSemaphorin 4Cを産生する。 以上2つのマウスについて今後解析予定である。
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Causes of Carryover |
論文投稿に必要以上の時間がかかったため、実験に割ける時間が当初の予定より少なく、消耗品等の購入費が少なくなった。 来年度はその分実験量が増えると考えられる。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] The Ser19Stop single nucleotide polymorphism (SNP) of human PHYHIPL affects the cerebellum in mice.2021
Author(s)
Hisako Sugimoto, Takuro Horii, Jun-Na Hirota, Yoshitake Sano, Yo Shinoda, Ayumu Konno, Hirokazu Hirai, Yasuki Ishizaki, Hajime Hirase, Izuho Hatada, Teiichi Furuichi, Tetsushi Sadakata.
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Journal Title
Molecular Brain
Volume: 52
Pages: 1-9
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] CAPS1 is involved in hippocampal synaptic plasticity and hippocampus-associated learning.2021
Author(s)
Chiaki Ishii, Natsumi Shibano, Mio Yamazaki, Tomoki Arima, Yuna Kato, Yuki Ishii, Yo Shinoda, Yugo Fukazawa, Tetsushi Sadakata, Yoshitake Sano, Teiichi Furuichi.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 11
Pages: 1-15
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] CAPS2 deficiency impairs the release of the social peptide, oxytocin, as well as oxytocin-associated social behavior.2021
Author(s)
Shuhei Fujima, Ryosuke Yamaga, Haruka Minami, Shota Mizuno, Yo Shinoda, Tetsushi Sadakata, Manabu Abe, Kenji Sakimura, Yoshitake Sano, Teiichi Furuichi.
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Journal Title
Journal of Neuroscience
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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