2021 Fiscal Year Annual Research Report
オルガネラによるプレシナプス機能制御ーシナプス小胞サイクルにおける小胞体の役割
Project/Area Number |
19K06901
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 静香 東京大学, 医科学研究所, 助教 (50705879)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シナプス可塑性 / シナプス伝達 / 小胞体 / 海馬 / 遺伝子改変マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内に広く分布するオルガネラである小胞体は、タンパク質や脂質合成・代謝、細胞内カルシウム貯蔵など、幅広い局面において重要な役割を果たしていることが示唆されている。近年、神経細胞において、細胞体のみならずシナプス前終末内のシナプス小胞近傍にも小胞体の分枝細管が存在し、さらにはシナプス前終末内においてエンドソームをはじめとする他の膜構造ともネットワークを形成するなど、従来の想定を超える分布形態を示すことが報告されているが、その機能的役割は不明な点が多い。そこで、こうしたシナプス前終末に存在する小胞体の機能を明らかにするため、小胞体の働きを制御することが知られている機能分子をシナプス前終末特異的に欠損させたマウスを用い、小胞体の機能異常が神経伝達物質放出機構およびシナプス短期可塑性などの脳の生理機能に及ぼす影響を検討する目的で実験を行った。初年度および次年度において、目的とする機能分子の神経終末における欠損を確認するだけでなく、その他のシナプス機能分子の発現量の変化等について、組織学的・生化学的解析を行うとともに、電気生理学的手法によるシナプス機能解析に着手した。最終年度の令和3年度は、遺伝子改変マウスの急性海馬スライス標本を用いて、入出力関係の検討や、二発刺激促通、テタヌス後増強、低頻度頻回刺激応答といったシナプス短期可塑性の評価をはじめとする電気生理学的解析を中心に実験を進め、遺伝子改変マウスにおけるシナプス短期可塑性の異常を確定するとともに、各種アゴニスト・アンタゴニストを用いた実験により遺伝子改変マウスで認められたシナプス短期可塑性異常の背景機構を明らかにすることを試みた。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] SIPA1L1/SPAR1 Interacts with the Neurabin Family of Proteins and is Involved in GPCR Signaling2022
Author(s)
Matsuura K., Kobayashi S., Konno K., Yamasaki M., Horiuchi T., Senda T., Hayashi T., Satoh K., Arima-Yoshida F., Iwasaki K., Negishi L., Yasui-Shimizu N., Kohu K., Kawahara S., Kirino Y., Nakamura T., Watanabe M., Yamamoto T., Manabe T. and Akiyama T.
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Journal Title
The Journal of Neuroscience
Volume: 42
Pages: 2448~2473
DOI
Peer Reviewed
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