2020 Fiscal Year Research-status Report
シナプス接着分子LRFN2の発達障害発症機序の解明
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19K06905
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
守村 直子 滋賀医科大学, 医学部, 特任助教 (00349044)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非ヒト霊長類 / シナプス接着分子 / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、シナプス異常と発達障害の因果関係が注目されており、自閉症や統合失調症とシナプス接着分子の関連性を示す研究報告が蓄積されている。しかしその多くは、マウスに関するの研究成果にとどまっており、ヒト発達障害をもたらす神経回路の同定やヒト発達障害の発症メカニズム解明には至っていない。その要因の一つは、マウスーヒト間の進化的差異が考えられる。興奮性シナプスの構造・機能を制御するシナプス接着分子LRFN2(SALM1)は、自閉症および統合失調患者で特有の1塩基置換変異体があることを報告した。ノックアウトマウスではヒト自閉症様・統合失調症様の表現型を示したが、霊長類においても分子機能が保持されているのかは不明である。本年度は、ヒト脳構造・機能が近縁で遺伝子操作実験が可能となったカニクイザルを用いて、非ヒト霊長類におけるLRFN2の生理学的機能および発達障害発症のメカニズムを解明するため、CRISPR/Cas9ゲノム編集技術によるLRFN2ノックアウトカニクイザルと自閉症変異体LRFN2_R274Hおよび統合失調症変異体LRFN2_E462Dノックインカニクイザルの作製を進めた。CRISPR/Cas9に必要なカニクイザルLRFN2遺伝子のクローニング、ターゲット領域とそれぞれのガイドRNAのベクター構築、ノックインssDNAなどの分子生物学的ツールの作製とin vitroにおける SSA(single-strand annealing) assayを行なった。また、昨年度からの継続実験として、カニクイザル脳の正常発達段階における核磁気共鳴画像(MRI)および拡散強調画像(DWI)の取得と拡散テンソル画像(DTI)解析を行い、データの蓄積を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は遺伝子組換えカニクイザルの作製に着手し、順調に進めることができた。また、継続研究も並行して行うことができ、概ね順調となっている。ただし、コロナ禍であった本年度は研究会や学会参加を中止した。
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Strategy for Future Research Activity |
現状、概ね順調に進んでおり、今後も研究計画に従って進める予定である。特に次年度は自閉症変異体LRFN2_R274Hや統合失調症変異体LRFN2_E462Dカニクイザル個体作製を中心に行い、Web開催の学会やZoom開催の研究会などへ参加して発表の機会を得たいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による学会参加中止や研究会参加を中止したため、旅費使用がなかった。
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