2020 Fiscal Year Research-status Report
Deciphering neuroepigenetics that regulate the neural differentiation
Project/Area Number |
19K06907
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武内 章英 京都大学, 医学研究科, 准教授 (90436618)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 慶 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (00387961)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | Sfpq / RNA結合タンパク質 / クロマチン・リモデリングファクター / ヒストン修飾 / DNA修飾 / RNA修飾 / 超長鎖遺伝子発現制御 / 免疫沈降・質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)神経分化過程でのクロマチン構成分子および制御因子(修飾因子)の網羅的な発現パターン解析および機能解析 昨年度統合した遺伝子リストの統合とマニュアルキュレーションを行い、クロマチンダイナミクス関連の全遺伝子リストの作成を完了した。このリストと自身が作成したマウス胎児脳の時空間的トランスクリプトームデーターを用いて、神経分化過程でのクロマチンダイナミクス関連の全遺伝子の網羅的な発現パターン解析を行った。その結果、神経分化に伴い、クロマチン構成分子および制御因子のパターンが大きく変動することを確認した。この結果から、脳形成という高次生命現象にspecificな、発生にプログラムされたクロマチンダイナミクスの積極的な制御があり、それにより神経分化や脳形成時のダイナミックな遺伝子発現変動が制御されていることが強く示唆された。
2)神経長鎖遺伝子のmRNAの転写を許容するクロマチンダイナミック制御メカニズムの解析 申請者はこれまでに、SfpqというRNA結合タンパク質が、神経発生の過程で100-2000kb 長の神経分化に必須な遺伝子群の発現を制御していることを見出している。Sfpqがクロマチンと相互作用しクロマチン構造を開くことで長鎖遺伝子の転写伸長を促進しているモデルの検証のため、免疫沈降によりSfpqと相互作用する核内分子の単離を行った。いつくかの実験条件の検討と最適化を行った結果、核抽出液からSfpqの作る巨大複合体(RNAヒストン構造)の単離に成功した。単離されたタンパク質につきWestern Blottingおよび質量分析(IP-MS解析)のパイロット実験を行い、実験条件を確立できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は、コロナ感染拡大と京都府への緊急事態宣言の発令により、京都大学医学部の研究室では、長期に渡りラボでの研究活動が大幅に制限された時期があったため、コンピューターを用いたデーター解析をメインにした1)の研究は予定より早く進んだが、2)の研究は若干の遅れを生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)神経分化過程でのクロマチン構成分子および制御因子(修飾因子)の網羅的な発現パターン解析および機能解析 マウス胎児脳における神経発生・分化過程で発現変動するクロマチン構成分子およびその制御因子を同定でき、神経分化や脳形成という高次生命現象にspecificなクロマチン制御が存在することが強く示唆されたので、2)で同定される分子と共に、機能解析を行う。
2)神経長鎖遺伝子のmRNAの転写を許容するクロマチンダイナミック制御メカニズムの解析 本年度に免疫沈降により、核内でSfpqと相互作用する巨大複合体(RNAヒストン)の単離と、単離されたタンパク質の質量分析(IP-MS解析)を実施する条件検討を完了し実験系を確立できたので、来年度はこの実験系を用いて神経超長鎖遺伝子の発現制御に共役して起こるクロマチンダイナミック制御に関与する分子を網羅的に同定し、RNAヒストン構成分子リストを完成される。1)の神経発生過程で発現変動が著明な分子や、specificな発現パターンを示す分子、およびSfpqと相互作用するクロマチン構成分子およびその制御因子につき機能解析を行ない、神経発生における神経エピゲノム制御の生理的な意義の解明に挑む。
|
Causes of Carryover |
令和2年度は、コロナ感染拡大と京都府への緊急事態宣言の発令により、京都大学医学部の研究室では、長期に渡りラボでの研究活動が大幅に制限された時期があったため、多くの研究費を必要とする2)神経長鎖遺伝子のmRNAの転写を許容するクロマチンダイナミック制御メカニズムの解析、の研究が遅れを生じたため、次年度使用額が生じた。遅れた分は次年度に実施可能なため、当該助成金と翌年度に請求した助成金を用いて実施する予定。
|