2020 Fiscal Year Research-status Report
Functional mechanism of multimodal sensory integration in the mouse cortex
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19K06913
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
吉田 崇将 東洋大学, 理工学部, 助教 (50525904)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 感覚統合 / カルシウムイメージング / マウス / 大脳皮質 / 二肢強制選択課題 / 視聴覚弁別課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、感覚統合による効果を誘導するようなオペラント行動課題をマウスに学習させ、課題遂行中に感覚統合が生じている瞬間の大脳皮質全体にわたる神経活動を広域カルシウムイメージングによって捉えることで、機能的な感覚統合の神経メカニズムを解明することを目的とする。2020年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響で実験の遂行が困難となり、当初の目標は達成できなかった。 代わりに最終的な目標として挙げている「大脳皮質神経ネットワークの解析方法の確立」の検討を既に記録したイメージングデータを用いて進めた。具体的には、異なる脳状態(異なる麻酔下と覚醒下)における自発活動の皮質ネットワークにおける因果性をGranger因果分析によって推定し、fentanyl麻酔下と覚醒下におけるネットワーク構造が似ており、isoflurane麻酔下における構造と異なることが示唆された。低用量のfentanyl麻酔下では意識レベルが維持され、脳は覚醒状態に近いと言われており、今回の結果はそれを支持する。また、統合失調症モデルマウスの皮質ネットワークの構造も野生型マウスと異なると仮定して、自発活動における大脳半球間のhomotopic相関解析を行ったところ、視覚野においてのみ統合失調症モデルで相関が低くなった。これはモデルマウスで大脳半球間の連絡が障害され、それが反映されたものと考えられる。この結果は、第43回日本神経科学大会で発表した。このように、いくつかの異なる脳の状態に対して複数の手法でその違いを検出することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で、大学内への入構禁止やオンライン授業への対応など様々な困難とエフォートの再配分により、当初計画していた実験がほとんど実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は報告書作成時点でほぼ通常の研究活動が再開できているので、残された以下の目標に取り組む。 目標①:頭部固定式の二肢強制選択課題システムの構築と野生型マウスを用いたシステムの評価検証。 目標②:構築した課題システムを用いて、マウスに視聴覚弁別課題を学習させ、感覚統合を誘導できるかの検証。 目標③:Emx1-YC2.60マウスを用いた課題遂行中の大脳皮質イメージング。 ここまで遂行できたら、2020年度に検討した大脳皮質ネットワークの解析手法を用いて、感覚統合時のネットワーク構造の変化を可視化する。 目標③に関しては、理研BRCに寄託されているtLSL-YC2.60マウスの凍結胚から個体を起こし、Emx1-Creマウスを掛け合わせることで大脳皮質における興奮性神経細胞に特異的にYC2.60を発現するTgマウスを作製する。一連の手続きは現在進行中で9月ごろには目的のマウスの使用が開始できる予定である。
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Causes of Carryover |
理由: 新型コロナウイルス感染症の影響で、当初計画していた実験がほとんど実施できなかったため。 使用計画: 二肢強制選択課題タスクシステムおよび視聴覚弁別課題システムの構築のために、およそ100万円、Emx1-YC2.60マウスの作製のために、およそ100万円、論文の英文校閲と出版のために、およそ40万円を充てる。
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