2021 Fiscal Year Research-status Report
Functional mechanism of multimodal sensory integration in the mouse cortex
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19K06913
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
吉田 崇将 東洋大学, 理工学部, 助教 (50525904)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 感覚統合 / カルシウムイメージング / マウス / 大脳皮質 / 脳内ネットワーク / 因果性解析 / 二肢強制選択課題 / 視聴覚弁別課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大脳皮質全体にわたる神経活動を可視化する技術と感覚統合に基づいたマウス用のオペラント行動課題を組合せて、機能的な感覚統合が生じている瞬間の脳活動を捉えることを目指した。視聴覚統合課題遂行中の大脳皮質における神経活動を広域カルシウムイメージングを用いて可視化するために、オペラント行動課題システムを設計・試作した。カルシウムイメージングのための遺伝子組換えマウスを凍結胚から起こして作製し、イメージング実験を実施して大脳皮質の神経活動が計測できることを確認した。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で実験の遂行に困難が生じ、当初の目標は達成できなかった。代わりに最終的な目標として挙げている「大脳皮質神経ネットワークの解析方法の確立」を優先し、Granger因果性解析を用いたデータ解析の検討を進めた。既に取得したデータを用いて、統合失調症モデルマウスの大脳皮質ネットワークにおいて、機能的結合性(相関係数)と因果的結合性(Granger因果性)の間に差異があることを見出した。この発見により、因果性結合ネットワークを可視化および定量化することで、統合失調症モデルマウスの大脳皮質ネットワークにおけるグローバルな神経結合性の異常を検出できる可能性が示唆された。この解析手法を応用することで、課題により誘導される機能的感覚統合の有無に依存してグローバルな神経結合性がダイナミックに切り替わると仮定すれば、大脳皮質ネットワークレベルで感覚統合の表象を検出できる可能性があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度は、2020年度より引き続き新型コロナウイルス感染症の影響が残り、オンライン授業への対応など教育・学務面へのエフォートの再分配により、当初計画していた実験の実施ができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度より所属を移籍し、教育に対するエフォート割合が大幅に減少するため、研究の推進が見込まれる。 目標①:頭部固定式の二肢強制選択課題システムの構築と野生型マウスを用いたシステムの評価検証および最適化。(システムの試作は完了しているため、安定動作版の作製と実動の確認および評価を実施する。) 目標②:構築した課題システムを用いて、マウスに視聴覚弁別課題を学習させ、想定通り感覚統合を誘導できるかを検証。 目標③:Emx1-Yc2.60マウスを用いた課題遂行中の大脳皮質イメージング。 ここまで遂行できた時点で、2021年度までに検討を進めた大脳皮質ネットワークの解析手法を用いて、感覚統合時のネットワーク構造の変化を可視化する。(Emx1-Creマウスに関しては、2021年度に凍結胚から個体を起こすことに成功したので、同様にして個体を作製して使用する。)
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Causes of Carryover |
理由: 新型コロナウイルス感染症の影響で、当初計画していた実験が実施できなかったため。 使用計画: 二肢強制選択課題システムおよび視聴覚弁別課題システムの構築のために、およそ100万円、Emx1-YC2.60マウス作製のために、およそ40万円、学会等参加のために10万円、論文の執筆と出版のために、およそ40万円を充てる。
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