2019 Fiscal Year Research-status Report
Neural basis of memory consolidation: Organization of hippocampal-output circuit mediated by entorhinal LV neurons
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19K06917
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大原 慎也 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (10570038)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 内側嗅内皮質 / 外側嗅内皮質 / 局所回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
記憶の固定化には、内側嗅内皮質(MEC)と外側嗅内皮質(LEC)を介した海馬から大脳皮質への海馬出力路が重要な役割を果たすと考えられている。記憶の固定化を実現する神経基盤を同定するため、本研究ではMECとLECが形成する海馬出力路の回路構成の解明を目指す。 2019年度は海馬出力回路を構成する3つの要素、すなわち①海馬から嗅内皮質Vb層への投射、②Vb層ニューロンの局所回路、及び③Va層ニューロンから大脳皮質への投射のうち、②局所回路に着目した。具体的には、嗅内皮質Vb層ニューロンの形態観察、及びVb層とVa層を繋ぐ“Vb-Va路”の機能的結合を調べることで、Vb層ニューロンが形成する局所回路の構造の違いをMECとLEC間で比較した。まず、Vb層ニューロンを選択的に標識し、Va層における標識軸索の分布をMECとLECで調べた。その結果、LEC Va層でのみ標識軸索が密に確認され、Vb-Va路がLECにおいて顕著であることが予想された。次に、この形態的特徴に基づく予想が正しいのか、脳スライス標本を用いて調べた。具体的には、Vb層ニューロンにチャネルロドプシンを発現させ、光刺激に対するVa層ニューロンの応答をパッチクランプ法により計測した。その結果、Va層ニューロンの応答がLECにおいて確認された一方、MECでは確認されなかった。これらの結果より、嗅内皮質Vb層ニューロンの局所回路はMECとLECで異なり、LECでのみVb層ニューロンがVa層ニューロンに入力することが示された。 これまでの研究から、海馬出力路の回路構成はMECとLECで似ており、腹側海馬で処理された情報はMEC/LECのVb-Va路を介して皮質領域に送られると考えられている。本研究結果はこれに反するものであり、MECとLECが異なる局所回路により海馬情報を処理することを示唆する興味深い解剖学的知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、海馬出力回路は3つの要素のうち、「②Vb層ニューロンの局所回路」を2019年度に明らかにした。この研究結果は、MECとLECにおける局所回路の違い明確に示す初めての研究結果である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の研究で、MEC Va層ニューロンがVb層ニューロンからの入力を受けないという予想外の結果が得られた。これにより、MEC Va層ニューロンがどのような情報を処理しているのかという新たな疑問が生じた。そこで、2020年度は海馬出力回路は3つの要素のうち「①海馬から嗅内皮質への投射」について調べ、MEC Va層への入力を明らかにすると共に、MECとLECへの入力の違いを調べる。
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Research Products
(7 results)