2021 Fiscal Year Annual Research Report
Functional analysis of neural stem cells in the medulla oblongata
Project/Area Number |
19K06921
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮田 清司 京都工芸繊維大学, 応用生物学系, 教授 (30243124)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 神経幹細胞 / 延髄 / 最後野 / 中心管 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
成体脳の延髄には神経幹細胞が存在しないと考えられてきた。しかし、脳室周囲器官と総称される部位のひとつである延髄・最後野にあるアストロサイトと上衣細胞の1種であるタニサイトが神経幹細胞であることが所属研究室の古部らにより発見した (Furube et al., 2020, Sci. Rep.)。延髄には、生命を維持する上で極めて重要な中枢機能がある。例えば、運動・感覚、呼吸器系・消化器系・排泄器系などの制御と中継中枢がある。神経幹細胞は、脳部位に固有の機能を持っているので、延髄の神経幹細胞は生命維持に必要な機能を有すると考えられる。また、延髄の神経幹細胞は延髄の機能修復にも関与すると推測される。 最終年度においては、成体マウスの延髄における神経幹細胞の増殖について自発運動の影響を調べた。自発運動は海馬の神経幹細胞とは異なり増殖を抑制することが明らかになった。また、グルココルチコイドホルモン投与は、海馬と同様に増殖を抑制した。次に、 Neurosphere assayにより延髄の最後野と中心管における神経幹細胞の増殖を比較したところ、最後野の方が増殖が顕著であった。また、この増殖スピードの違いは動物レベルでも確認された。細胞分化に関しては、最後野が神経を含むすべての細胞に分化するのに対して、中心管の神経幹細胞は主にアストロサイトに分化した。飽食ホルモンであるレプチンの影響を培養並びに動物レベルで調べたところ、最後野の神経幹細胞の増殖を促進したが、中心管のものは促進しなかった。以上、延髄に存在する最後野のアストロサイト様と中心管のタニサイト様神経幹細胞は、増殖スピード、分化、レプチン応答性などに違いがあることが判明した。
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