2019 Fiscal Year Research-status Report
Homeostatic scaling function in the generation and reorganization of segregated distribution in synaptic organization
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19K06925
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
市川 量一 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (10223091)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シナプス / 登上線維 / 平行線維 / プルキンエ細胞 / 小脳 / ホメオスタシス / 除神経 / 再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、マウスの下オリーブ核に電気焼却をおこなうことで、下オリーブ核以外の神経回路活動への影響を最小にしながら、登上線維の除去をおこなった。下オリーブ核に障害を与えて1.5日、7日、 30日経過したのちに、登上線維入力を失ったプルキンエ細胞の樹状突起に対して、小胞性トランスポーター2型と小胞性トランスポーター1型の抗体を用いて、それぞれについての免疫標識をおこなった。前者をDABで発色させ、後者を金コロイドで発色させた後に連続超薄切片を作成し、電子顕微鏡を用いて観察をおこなった。当該のプルキンエ細胞樹状突起が形成するシナプスのシナプス前線維の全てがDABで標識されていないことを確認することで、登上線維入力が完全に消失していることを確信し、金コロイドがシナプス前線維にあることで、そのシナプスを平行線維シナプスと同定し、その樹状突起上での分布を調べた。 その結果、登上線維除去後1.5日ではシナプスを形成しない自由スパインが一過性に増加したが、障害後7日ではそれらの分布は、除去前の登上線維シナプスを形成したスパインと同数、同密度、同領域サイズとなった。また、対照マウスではみられないことだが、樹状突起近位部に平行線維シナプスが出現した。平行線維シナプスを定量すると、対照マウスに比べ約20-25%増加した。以上のことから、ホメオスタシス可塑性に基づく平行線維シナプスの増加は登上線維の消失を代償する可能性が示唆される。今後、下オリーブ核の障害を、平行線維の障害と組み合わせて、シナプス構築の変化を調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載したように、登上線維を除去したプルキンエ細胞のシナプス構築を調べることが完了したため、概ね順調に進行しているといえる。そして、予想されたように、ホメオスタシス可塑性に基づいたシナプス量の変化を示唆するデータを得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、平行線維を登上線維の障害とを組み合わせたプルキンエ細胞樹状突起のシナプス構築を探索する予定である。それにより、登上線維が除去されたプルキンエ細胞樹状突起における、ホメオスタシス可塑性のシナプスの変化に対する役割がより鮮明になることが期待される。
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Causes of Carryover |
本研究課題に関係した論文の提出に時間がかかり、年度末から次年度に投稿予定であるため、その必要経費を繰り越しとした。また、物品の納入についてもコロナウイルス蔓延のため、選定作業、納入作業などに遅延が見られており、その経費を繰り越しとしている。
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